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機動戦士ガンダムSEED第8話「敵軍の歌姫」
 
 
キラ君が拾ってきた救命ポッドに乗っていたのは、
ザフト軍のアイドルにして慰霊団代表ラクス・クラインたんだったのです。
彼女の体をそっと補助して降ろしてやるキラ君。さり気ない優しさが光りますが
「アスラン×キラ(逆カプ可)」の方々からは許されない罠。
 
「あらあらあら〜、ここはザフトの船ではありませんの?」
またも頭痛の種が増えたと心労の目立つバジルール少尉。
前回、キラ君がフレイ達の乗った救命船を拾ってきたときも
民間人が増えるので困ったはずであるのですが。
 
アスラン君のシャワーシーン。その手のお姉さま方にはもう堪らないことかと。
シャワー中の呼び出しは出動要請。
連絡員の女性士官としてはこれはもう眼福眼福なのでしょう。
そしてニュースでは慰霊団代表として視察に出かけていたラクスの消息が
絶たれたことが報じられます。
 
「これはお友達のハロです」「オマエモナー」
「やれやれ…スタッフまでもが2ちゃんねらーとはな
さすがのムウさんも、頭痛が。
さて、室内の様子を盗み聞きしている男勢ですが
トールもサイも彼女持ちなのに、なにやってるんでしょう?
 
さてさて出撃命令を受けたラウさんの部隊とアスラン君。
任務は「ラクス捜索」でした。
「彼女を救い出しヒーローのように舞い戻れ、ということですか」
「もしくはその亡骸を抱きしめて号泣…君が行かないことには話にならないのだよ」
ラウさんはかなり冷徹な御方のようで。
それにしても、これまであの間抜けな仮面について誰も触れていないのは
なにか深い理由でもあるのでしょうか?
(例:サンライズの意向には逆らえないから)
 
この回からBパートのアイキャッチが新しくなりました。
くるくる回るラクスたんと、アスラン。
大量に浮いているハロは後の複線になっています。
 
さてブリッジではラクスの今後の扱い方についてTOP会議が開かれていました。
民間人であるラクスを巻き込みたくないと言うラミアス艦長に対し、
ならばすでに巻き込んだ民間人のキラ達はどうなのかと詰め寄るバジルール少尉。
平和を得るために戦いに身を投じた艦長と、
軍人の家系に生まれ育ったバジルール少尉の間で意見は対立します。
いつもはさりげなく意見をまとめるムウさんも、今回ばかりはだんまり。
 
そのころ食堂では、誰がラクスに食事を運ぶかという問題で
ミリアリアとフレイ嬢が揉めていました。
ミリーは仮にもブリッジ要員であるし、連合軍服も着ているので
ここは一般人であるフレイが運ぶのが適任と考えたのですが、彼女はこれを拒否
コーディネイターに対して「非常に頭がいい」「運動神経が並はずれている」
といった恐れから、攻撃されるのではないかと不安を抱いたのです。
 
と、その場にやってきたラクス嬢。
「笑わないでくださいね、だいぶお腹もすいてしまいましたの」
「やだ!なんでザフトの子が勝手に歩きまわってんの!?」
この後もコーディネイターに対して不快感をあらわにする言葉をばんばん放つフレイ嬢。
 
友好を求めてきたラクスに対して
「コーディネイターのくせに、なれなれしくしないで!!」
食堂内に衝撃が走りました。時だって止まりますよ(ザ・ワールド)。
その場にいたキラ君は完全に失恋(?)。
ラクスをつれて、とぼとぼと食堂を出ます。
 
「おかしいじゃない。
 病気でもないのに遺伝子を操作するなんて。
 自然の摂理に逆らっているわ」
とはフレイ嬢の言葉。
この時代においては遺伝子治療はもとより人の遺伝子操作まで
当たり前のように行われているようです。
もっともそれが世界中で認められているわけではなく、
遺伝子操作によって飛躍的に能力を高めたとされる人類(コーディネイター)は
差別の対象として迫害されてしまっています。
それがこの戦争の原因の一つでもあるのですが、
人間というのは自らの存在が脅かされる存在が生まれた場合、
それをどうにかして排除しようとする行動をとるらしく、
遺伝子操作されていない旧人類側としては、
能力の高い新人類を非常に嫌悪し恐れるようになるのは当然のことです。
フレイにしたって第1話での人気を軽々とラクスに凌駕されてしまっては
自分の立場を守ろうと躍起になるのは仕方のないことなのです(?)。
 
さて、もう少し解りやすく現代の我々の日常に置き換えて考えてみましょう。
我々がよく耳にする遺伝子組み替え生物について、
日常生活にも入り込んでいるものはというと遺伝子組み替え作物ですね。
これは「病気に強い」「収量が多い」「味がいい」「栄養面で優れている」など
様々な改良を遺伝指摘に施されている作物のことです。
気をつけなくてはならないのは、掛け合わせによる品種改良とは
アプローチが異なっていることです。
稲の異なる品種を掛け合わせることによって品種改良がなされたことは
日本人にはお馴染みですが、これは異品種間での受粉によるものなので、
自然界でも起こりえることです。
一方、遺伝子組み替え植物ではDNAレベルで改変が施されているので、
以降に育つ第2、第3の世代でも同様の形質を発現する品種になっています。
 
二つは似ているように思えますが、
遺伝子を操作することによって作られた生物が生物にどんな作用をするのかが
完全に解明されていないため、遺伝子組み替え大豆が日本市場から強く
排除されたことは記憶に新しいです。
ですが、本当に遺伝子組み替え作物は人間の害になるのでしょうか?
組み替え否定派の意見としては、
・自然の摂理に逆らっている
・どんな影響があるか判っていない
・害虫を殺すものもある
といったことがあげられます。
これはレイチェル・カーソンの「沈黙の春」にも有名ですが、
どんな影響があるかも判っていない農薬を使用したことによって、
生態系が大きく狂い、人間にも害を及ぼした前例によるものです。
従って便利な技術のみの追求は危険だという認識が生まれました。
 
一方、組み替え肯定派の意見としては、
・植物が作るものなのだから、所詮タンパク質に過ぎない
・防虫効果といっても、人間にはその受容体がないから安全
・人類の総人口と地球の食糧自給率の将来予測から必要不可欠
といったものがあります。
確かに今後、増え続ける人口に対して食糧を供給していくには
遺伝子組み替え作物の力を借りる必要性があることは確かでしょうし、
事実、現在既に人類全員を満たすほどの食料は無いのです。
しかし、安易に使用できないのが問題点でもあります。
確かにDNAから作られるのは単純にタンパク質と言えますが、
そのタンパク質がどう働くかという予想を簡単に行う方法がないのが現状です。
その為にはDNA情報からアミノ酸配列、タンパク質立体構造といった情報を網羅する
ポストゲノムのデータベース展開が必要になります。
先日、ヒトDNA配列はすべて解読されましたが、
配列が判っただけでどのような作用をするのかという機構まで
完全解明されたわけではなく、まだまだ先は長いと言われています。
 
話を戻すと、どんな作用をするタンパク質が植物内で作られるか判らない以上、
そのタンパク質が特異的に有害な重金属を貯蓄したりしないとは
誰にも言えないわけです(それだけなら簡単な品質検査でもすみますが)。
 
そしてタンパク質も侮れません。
人間の消化機構では、胃でタンパク質はアミノ酸に分解されます。
その時点でタンパク質の立体構造は失われ、特異的な働きも無くなるはずです。
理論上はそうでした。
しかし、それをうち破る存在として対当してきたのが「プリオン」というもの。
プリオンの定義は微妙なのですがタンパク質の一種にされる場合があります。
これはクロイツフェルトヤコブ病の原因物質であることが判っており、
接種するとなぜか消化器官をくぐり抜け脳を犯し、死に至らしめます。
「狂牛病」といった方が馴染みがあるかもしれません。
このプリオンとはいったいなんなのか?ということがずっと注目されてきましたが、
よくわからない、というのが数年前までの見解でした。
最近は、脳内にプリオンと同じものが存在していることが判っています。
これは「正常プリオン」「異常プリオン」と区別されています。
正確に言うと完全に同じではなく、構成元素も原子数も同じですが
その構造が「鏡合わせ」の対称であるということらしいです。
つまり正常プリオン(無害)が「p」だとすると異常プリオンは「q」。
これが体内に入り込んでくると、周辺の「p」を「q」に次々と変えていき、
最終的には死に至らしめるということのようです。
そして、それが症状として現れてくるまでの潜伏期間が30年といわれていましたが、
ヨーロッパで比較的若い人間がこのクロイツフェルトヤコブ病を発症。
短時間で脳が浸食されることが判ったために、牛肉が強く警戒されているわけです。
 
さてこの異常プリオンをもつ牛がどうして生まれたのかと言うと、
肉骨粉という牛の肉や骨を砕いて飼料にしたものを与えられていたからでした。
廃棄肉の再利用という人間のエゴから共食いを強要された牛の体内で異常プリオンが増殖。
初期は牛特有の奇病と思われていた「狂牛病」ですが、人間にも感染することが判明。
その可能性が既に指摘されていたにも関わらず肉骨粉の輸入・使用を続けて事が
判明したのは記憶に新しいです。
 
この「共食い」というのは非常に危険なもので、
人間でも「カニバリズム」という習慣・主義がありますが
体に悪影響を与えることが判っています。
もちろん実験など行ったわけではありません。
死者の肉を食べることでその力や知識・能力を受け継ごうという
死者崇拝食人文化をもったある未開地の部族を追跡調査した結果、
近隣の食人文化を持たない部族と比べ寿命が短いことがわかったのです。
現在では都会との交流も生まれ食人文化はなくなり、
それ以降、部族内の平均寿命は大きく伸びたそうです。
これらのことから「共食い」から危険なタンパク質が生じ、
また肉食動物間で感染する傾向が強いということが言えます。
 
狂牛病の原因は遺伝子改変ではないので
安易に遺伝子組み替え作物と同列に扱うことは好ましくないのですが、
プリオンのような危険な作用をもたらすタンパク質・物質が生じないとは
誰にも断言することが出来ないと言うのが現状なのです。
 
 
えーと、そうそうガンダムでしたね。
遺伝子に興味の無い人は、ちゃっちゃと上を読み飛ばしてくださいね。
 
さてそんなわけで、遺伝子操作された人間に対して不安感があるのは仕方ありません。
キラ君が実際に軽々とガンダムを扱ってみせることに、
カズイ(16)も疑問を抱いているようです。
 
キラに対してそういう差別を持たず、
友人として信頼しているのはこの二人だけのようです。
 
「お優しいのですね」
「僕も…コーディネイターですから」
「でもあなたが優しいのはあなただからでしょう?」
赤くなるキラ君。なんてもう惚れっぽい奴なんでしょうか!!
しかしどうやら彼の認識では女の子はロングと決まっているご様子。
でなければ第1話でどう見ても女の子であるカガリたんを
男と間違えるなど考えられるわけもありません。
 
「トールから聞いた」
キラを気遣うサイ・アーガイル。彼もまた、キラを心配する仲間なのです。
「星の〜♪」
歌うラクスたん。可愛いなぁ、もう!
しかしここで、サイ君もぽろりと漏らしてしまいました。
 
「きれいな声だなぁ…。
 でもそれもやっぱ遺伝子いじってそうなったのかな…
 
差別というものはいつの時代も意識していないところから
起こってくると、そういうメッセージなのでしょうか?
 
 
なんか今回の話は堅かったですね。
 

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