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[DESTINY END]
 
「じゃあお墓ないの?」
「うん。ちっちゃな慰霊碑があるだけ」
 
シン、ルナマリア、アスラン、メイリンはオーブに戻り、
あの海岸にやってきました。ひっそりと立つ、小さな慰霊碑。
碑には、戦没者の名前が彫られているのでしょうか。
 
「ずっとここ嫌で……でも、ずっと気になってた。
 こんなふうじゃなかった。こんなところじゃ…
 でもこんなのは…こんなのはもっと嫌だ!」
「シン…」
 
あの日一度だけ訪れた寂しい場所は、
再びオーブを襲った戦火で煤けていました。
花もなく、地面は剥き出し。モニュメントもボロボロです。
 
───いくら綺麗に花が咲いても人はまた吹き飛ばす!(デス種@8話
 
シンも加わった、オーブへの攻撃。
自らの言葉を、己の手で証明してしまったのは皮肉なことです。
 
 
「トリィ!」
 
「ん・・・キラ」
 
トリィと共に現れたキラ・ヤマトとラクス・クライン。
彼等も花を供えに来たようです。
 
「来てたんだ」
「あぁ…」
 
アスランをスパイしていたときに耳にしていたとはいえ、
俄には信じがたかった本物のラクスの存在。
その登場に少し驚いたルナは、したり顔のメイリンとアイコンタクト。
 
「うふ♪」
 
にっこりメイリン。
 
「シン、彼がキラだ」
「ぇ?」
「キラ・ヤマト。フリーダムのパイロットだ」
 
「えぇ!?  ……ぁ、ぁ…」
 
思いがけない人物の登場に、絶句するシン。
かつて戦い合い、執拗に追いつめた相手がいま、
瞳に静かな光を湛え、シンの前に立っています。
 
そっと静かに右手を差し出し、和解を求めるキラ。
 
「・・・駄目かな?」
 
戸惑いはしましたが、その手を取るシン。
だけど、何を言えばいいのか…。
複雑な気持ちが渦巻いて、言葉が出てきません。
 
「ぁ…あの…俺…」
 
「いくら吹き飛ばされても、僕等はまた花を植えるよ。きっと」
「ぁ…ぁ…」
 
強い意志の宿ったキラの言葉が、
凍り付いたシンの心を溶かしていきます。
 
「一緒に戦おう」
 
「それが俺達の戦いだな」
 
人の世に争いの種は無くならないでしょう。
しかし、もう道は見誤らない。
アスランも、何とどう戦うのかを見つけたのです。
 
「ぁ… ぅ…はい。ぅぅ…」
 
そしてシンも、新たな道標を得ました。
熱い涙が、わだかまりを押し流していきます。
2年前に失われた家族も、戦争で死んでいった者達も戻りはしません。
それでも彼の手は、新しい世界──「明日」──を守っていくでしょう。
 
僕たちは歩き出す、別々の場所へ。
 
 
───行く道は同じはずだ
 
 
君の姿はこんなにも僕に似ているんだから。
 
 
同じ「明日」を目指して。
 
 
 
FINAL PLUS 〜選ばれた未来〜 -Fin-

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