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著:ショウさん(@愚者の書庫)  絵:えもん氏

真闘姫 〜THE GIRL'S STRUGGLE FOR EXISTENCE〜 

 

第五話

 

〜始業式終了後・雪姫〜

将姫姉さんと別れた後、2−Aの手前あたりで秋山由美子に出会った。
どうやら友人と話しているみたいだった。
由美子もこちらに気づいたようだ。

「あ、矢部さん。ちょうどあなたの話をしていたの。澪、この子が矢部雪乃さんだよ。」

澪と呼ばれた少女は少々やせ気味で、肌は病的に青白い。
あまり体は丈夫ではなさそうだ。
すると、澪という少女が口を開いた。

「はじめまして、私は由美子の中学時代からの友達で
 長岡澪(ながおかみお)っていいます。よろしく。」

愛想笑いを浮かべて少しはにかんでいる。声も小さい。
由美子と違って少々人見知りするタイプのようだ。

「・・・・・・はじめまして、矢部雪乃よ。」

わたしもいちおう挨拶を返しておく。

「あ。由美子・・・そろそろ教室に戻るね。それじゃ、またね。」

「うん、後でね。それじゃ、またね〜。」

由美子は元気に手を振って澪を見送る。この二人は本当に正反対だ。

「あの子、昔から体が弱くて・・・
 一年生の時にとうとう手術が必要で二ヶ月ぐらい入院しちゃったんだ。」

「・・・・・・そう。」

「でも、進級は出来たみたいでよかったぁ。ホッとしてるの。」

由美子が長岡澪の事を心から案じていたのがうかがえる。

「・・・・・秋山さんは友達思いなのね。」

「あははっ、そうでもないよ。
 中学で会った時からなんとなく澪とは気があったんだ。
 そうそう、私のことは由美子でいいよ。」

「・・・・・・・わかったわ。それじゃ、私のことも雪乃って呼んで。
 名字で呼ばれるとあまりピンとこないの。」

「名字で呼ばれるとピンと来ない?
 結婚したばっかりの奥さんじゃあるまいし、変なの〜!あはははっ。」

「・・・・・なんとなく・・・ね。」

とってつけた名字なのだからピンと来ないのは新婚さん以上であろう。
名前もそうだけど一文字共通してるぶんマシだ。

「とにかく、わかったわ。今度から雪乃って呼ばせてもらうから。」

「・・・・・そろそろ教室に入らない?・・・由美子。」

「あははっ、うんそうしよう、雪乃。」

 

その後のHRで私と由美子は隣同士の席になった。奇遇としか言いようがない。
HRが終わると今日はひとまず終わりである。
由美子は部活があるとかで行ってしまった。
放課後に姉さんと落ち合って学内を探索する事になっていたのでちょうど良かった。

 

To be continued...

 

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