戻るTOPへ

 

著:ショウさん(@愚者の書庫)  絵:えもん氏

真闘姫 〜THE GIRL'S STRUGGLE FOR EXISTENCE〜 

 

第七話

〜演劇部部室・将姫〜

「ささ、この部屋だよ。」そう言いながら園田さんは私を引っ張っていく。

「あ、あのさ、悪いんだけど今日は私・・・」

ガチャ。園田さんはドアを開ける。あぁ、聞いてない。聞いてないよ!
園田さんはすたすたと部室内に入っていき、数名の生徒達の輪に近づいていった。

「部長!見学者を連れてきました〜!」

そう声をかけると輪の中から一人の女生徒が立ち上がってこちらに来る。
目鼻立ちが整っていてキリッとした雰囲気の美人だ。どうやらこの人が部長らしい。

「あははは・・・こんにちは。。。」

わたしはいちおう挨拶する。なんでこんなことに・・・。

「部長、どうです?!御劔さんって言うんですけど。
 わたし、御劔さんを見てたらなんだか新しい脚本の構想が・・・」

「園田さん、ちょっと落ち着いて。なんだかその子、困ってるわよ・・?」

助かった・・・さすが部長ともなると違うね。
みんな園田さんみたいだったらどうしようかと思っちゃった・・・。

「ですから新しい・・・・へ?どうしたの、御劔さん。」

とほほ・・・園田さんがやっとこっちを見てくれた。

「園田さん、ゴメン、わたし今日はこれから用事があるの。」

「え〜〜っ。早く言ってくれればいいのに。。」

こ、コイツ・・・。

「何度も言ってたってば!」

「えっ、うそっ?!・・ご、ごめんなさい
 私ってば夢中になると周りが見えなくなっちゃって。。。」

部長さんが溜息をついて話に入ってくる。

「園田さん・・・熱心なのは良いことだけど、気をつけてね。
 今までだって学園祭前に食事するのを五日間も忘れてて病院に担ぎ込まれたり
 考え事しててトラックにはねられたりしてるんだから。」

園田さん、アンタ・・・そのうちホントに死ぬよ。

「あははは・・・ぶちょ〜、それは言いっこなしですよ。。。」

やれやれ、あきれた人だ。ポカーンとしてたら部長さんがこちらにも話しかけてきた。

「ホントにごめんなさい、園田さんってホントに没頭しちゃうタチで。
 あ、私は部長の水田七瀬(みずたななせ)と言います。よかったら今度ゆっくり見に来てね。」

よかった・・・いい人で本当に助かった。

「あははは・・・あ、私は御劔翔子です。それじゃ、今日はこの辺で失礼します。」

「御劔さんね。よろしく。それじゃまたね。」

続いて申し訳なさそうにしていた園田さんも口を開く。

「御劔さん・・・今日はごめんね。」

「あはは、もういいよ。それじゃ、また明日ね!」

さぁて、ダッシュダッシュ!
雪姫もボケッと待ってるだけって事はないだろうし・・・電話した方が良いかも。。

 

 

〜将姫が立ち去った後の演劇部部室にて・・・〜

 

「でも、御劔さんてイイでしょ?今年から編入してきたらしいんですけど。」

「!・・・あら。そうなの・・・・・・みつるぎ、しょうこ、、、か。」

「どうしました、部長?」

「あ、あぁ・・・なんでもないわ。さぁ、今年の活動予定を話し合いましょう・・・・・・」

 

 

〜放課後・雪姫〜

将姫姉さんと昇降口で待ち合わせしていたのだけど、
終業のチャイムが鳴って20分立っても姉さんは現れない。
携帯電話もあることだし、しばらく一人で探索してみよう。
そう思って顔を上げるとちょうど階段から長岡澪が降りてきた。
澪はこちらに気づくとわずかに微笑んで話しかけて来る。

「あ、、さっきの・・。誰かを待っているんですか?」

「・・・・えぇ、一緒に編入して来たイトコ
 (将姫姉さんのこと。こういう事にしている。)を待ってるの。」

「あら、そうなんですか・・・従姉妹と一緒に編入してきたのなら寂しくないですね。」

「・・・・・そうね。」

・・・別に一人でも寂しいなんて事はないけれど。

「・・・・・。」「・・・・・。」

会話が止まってしまうと澪は時計を見た。

「あ、わたし、用事があるからそろそろ行きます。それじゃ、さようなら。」

「・・・・さようなら。」

わたしは校舎の周りをざっと見てまわる事にした。

 

To be continued...

戻るTOPへ

inserted by FC2 system