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著:ショウさん(@愚者の書庫)  絵:えもん氏

真闘姫 〜THE GIRL'S STRUGGLE FOR EXISTENCE〜 

 

第十二話

 

〜放課後、武道館裏・将姫&雪姫〜

ちょっと面倒なことになった・・・ヘンな集団に挟まれてる。

「・・・・どうする?」

「どうするったって・・・人数が少ない方を強行突破しかないよ。」

見たところ、グランドとは反対側の方が少ないみたいだ。
・・・行くならあっちだね。

「あっちの方が少ない・・・もうちょっと引きつけてから突撃ね。」

小声で作戦(?)を伝えると、雪姫は黙って頷いた。
そう言ってる間にも集団がじわじわと迫ってくる・・・たぶん操られてるね。
最初の女の子もおそらくは操られていたんだろう。

「あなたたち!何やってるの!?」

機会をうかがっていると、不意に女の声がした。
すると突然、集団の面々に表情が戻った。

「あれ?オレどうしてこんな所に?」
「わたし・・・いったい?」
「なんだ?なんなんだいったい?」

どうやら元に戻ったらしい・・・いや、黒幕が元に戻したって言った方が良いかな。
何らかの手段でこっちの様子を把握しているのだろう。
集団の面々は首をかしげながら去っていった。
人の群れの向こう側から最初に聞こえたのと同じ声で
「いったいなんなの」とかいうのが聞こえる。
おそらく教師だろう。
まっずいなぁ・・・そもそもなんでこんな所に先生が来るのさ。
連中が消えると残されたのは私達と
倒れている(てか、私が気絶させた・・・)女の子、そして声の主だ。
声の主は・・・たしか新任で数学の先生・・・楯先生だ。

「ねぇ、いったいどうしたっていうの?何があったの?さっぱり要領を得ないし。
 ……!? どうしたの、その子。」

倒れている女の子が目にとまったようだ。ヤバイなぁ・・・。

「えぇ〜っとですね、私たちもよくわからないです。
 たまたま通りかかったらこの子が倒れていて・・・そしたら今度はさっきの集団が……
 私にもなにがなんだか・・・あはははっ・・・ね?雪乃。」

我ながら苦しい言い訳だけど、
どう考えたってまともに説明なんか出来ないよ、こんなの。。。

「なんだかよくわからないけど、あなた達、職員室まで来てくれる?」

うおぉ!マズイ。むちゃくちゃマズイ。

「えっと、あのその、ほら、この子を保健室に連れて行かなきゃ
 ・・・あははははは・・・それじゃっ!」

女の子をおぶってダッシュする。もちろん雪姫も後を着いてくる。
するとその時。

「待ちなさい!・・・・・・将姫さんに雪姫さん。」

「「!!?」」

急ブレーキで立ち止まる私たち。いったい何者?

 「久しぶりね・・・私のこと、全然わからなかった?」

・・・確かにどこかで会ったような気がするけど・・・わからん。

「雪姫、誰かわかる?」

「・・・(ふるふる)。」首を横に振る雪姫。

すると楯先生は溜息をついてからメガネを外して、ロングの髪を手で持ってアップにした。
その顔は・・・

「げっ!・・・献姫(けんひめ)!!!」

「ふふっ、やっと思い出してくれた?最後に会ったのは前の<戦>の時以来だものね・・・。
 そちらに行った聖姫さんは元気かしら?」

"鉄壁の"献姫・・・

聖ネェがまだ私たちの仲間じゃなくて「"慈愛の"聖姫」と呼ばれていた頃の仲間。
もちろん私たちとは対立関係にある。

「・・・・・。」

雪姫はまだピンと来てないみたいだ。

「はんっ、髪型変えちゃって、
 ご丁寧にダテメガネまでかけてるからわかんなかったよ。
 ・・・なんでアンタがこっちの世界に。」

私たちはあちらの挙動に注意しながら待っていると、
またメガネをかけてから楯先生・・・献姫が答える。

「それはこっちが聞きたいわね。あなた達こそなんでこっちに?」

「さぁね。答えると思う?」

ふっ、と笑ってから献姫が話し始める。あいかわらずいけすかないヤツ。

「そう言うと思った。でも、だいたい予想はついてるわ。
 ・・・あなたたちのアイテムが、何者かに持ち出されたのを取り戻しに来た・・・違う?」

「・・・・・。」

コイツ、どうして。。。

「・・・・・さぁ?それは言えないね。」

いちおうシラを切る私。
ヤツはこちらを見てクスクスと笑っている。なんかムカツク。

「あなたはウソが下手ね。・・・ま、どっちでもいいけど・・・。
 なんでそう思ったかって言うと、私たちの所にもアイテムを盗みに入った輩がいたの。
 幸い、未遂に終わったけどね。」

「なんで、そんなことを私たちに言う?」

献姫はそれにかまわずに続ける。

「私の予想が正しいとして続けるわよ・・・たぶん、あなた達の方と同一犯の仕業ね。
 現に、あなた達も私たちも、ここに目星を付ているわけだし。
 で、私が何を言いたいかって言うと・・・」

「なにさ?」

「私の目的も犯人を見つけること。ここは協力しない?私は教師だし、あなた達は生徒。
 それぞれ違う情報が手にはいるのは悪い話じゃないと思うけど?」

「私たちと協力するって?冗談でしょ?」

私は献姫をにらみつけた。何を企んでる?
献姫は肩をすくめて言った。

「やれやれ。やっぱりそうか・・・。いちおう言ってみただけ。
 でも、まだ今は<戦>の時じゃない。今、私たちが闘う理由は無いはずよ。
 考えが変わったらいつでも言ってちょうだい。それじゃあね。」

言いたいことだけ言うと献姫は去っていった。
ふん、誰がアンタなんかと。

「やれやれ、変なのも出てきてややこしいことになってきたね。
 今日はひとまず帰ろうか?」

「・・・・そうしましょう。」

おっと、そうだ、女の子がまだ気を失ったままだ。
女の子にカツを入れて目を覚まさせる。

「ん・・・・んん?あれ?私・・・ううっ・・・頭が。。。」

「大丈夫?」

「は、はい・・・大丈夫です・・ここは?・・・・私・・・いったい?」

やはり操られていたようだ。

「何も覚えていないの?」

「はい・・・わたし、どうしてたんですか?」

覚えてないならしかたがない。

「私たちが通りかかったらあなたが倒れてたのよ。」

と言うことにしておこう。

「ここは・・・?武道館?どうして私、こんなところに・・・。」

「とにかく・・・保健室に行ったほうがいいよ。さぁ、立てる?」

私は手を貸して立たせてあげた。

「ありがとうございます・・・。」

「それじゃ、いこっか?」

「あ、大丈夫です、一人で行けますから・・。」

「それじゃ、校舎まで送っていくよ。どうせ私たちも帰るところだし。」

「ありがとうございます・・・」

私たちは、この子が校舎に入っていくの見送ってから帰ることにした。
もうすっかり薄暗くなっている。あと少しで日も暮れるだろう。

 

To be continued...

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