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著:ショウさん(@愚者の書庫)  絵:えもん氏

真闘姫 〜THE GIRL'S STRUGGLE FOR EXISTENCE〜 

 

第十九話

 

〜校舎四階・雪姫〜

私は四階の階段を調べてまわったが、
先ほど登ってきた階段以外は全てシャッターが閉まっていた。
どうやらさっきの階段で五階に行ってみるしかないようだ。
私は凍らせたホルマリン漬けをよけながら南東階段へ近づき、
上の様子をうかがいながら慎重に登りはじめた。
上からは何も気配が感じられないが、今までのことから考えて何が起こっても不思議ではない。
五階に上がってみたが、特に何もない。
とにかく他の階段をあたってみようと思い、廊下を数歩歩き出すと、
今さっき登ってきた南東階段のシャッターが音を立てて閉まった。
退路は断たれてしまったようだ。
さらに、北西、北東、南西の各階段もシャッターが閉まっている事がわかった。
私は五階に閉じ込められてしまったらしい。
ふと気が付いて携帯電話をかけてみるものの、案の定、通じない。
他の教室も、姉さんが切り裂いたドア以外は一切開かないようだ。
万策が尽きたらしい。
私は音楽室前の壁にもたれかかって腰をおろした。
さて、どうしたものだろうか。

 

〜校舎一階・将姫〜

三階から北西階段を降りて行くと、二階はシャッターが閉まっている。
な〜んか嫌な予感がしたけど、そのまま一階に降りてみたらばっちし開いていた。

「やったね!」

わたしが思わず声を上げると他のみんなもうなずく。
誰もが急ぎ足になって一階の廊下に出る。
なんとか一階にたどり着く事が出来た。
みんな、ほっと一息ついたようだ。

「でも・・・これで外にでれるとは限らないんだよね。」

部長さんがポツリと言った。

「ま、とりあえず試してみましょうよ、ね?」

理奈が部長さんを励ます。佐伯君も

「そうそう、とにかく試してみましょう!」

そういって早速すぐそこにあった文化部室棟に続くドアの方にかけていってノブを回した。
しかし、すぐに振り向き、黙って首を横に振った。

「まぁまぁ、皆さん。昇降口に行ってみましょう。」

おじさんがみんなを励ますように言う。
わたしもそれに同調することにする。

「そうそう、とにかく玄関に行ってみようよ!」

「そうね、翔子。行きましょう。」

みんなすたすたと歩き始めた。あまり暗くならずにすんでよかったよ。。。
しかし・・・昇降口のあるホールには十数名の生徒達が溜まっていたのだ。
みんな一様に表情が暗い。
私達の方を見て、一人がため息混じりに言う。

「でようとしてもムダだぜ。ガラスも割れやしない。どうなってんだよ、クソッ。」

なんとなく予想していたけど、みんなガックリしてしまった。

うぅん・・・マイッタなぁ。
多目的教室みたいに、村正なら開けられるのかもしれないけど、
みんないるし・・・なんて考えていたら
突然放送の呼び出し音(ピンポンパンポ〜ンってやつね)が鳴った。
みんながギョッとして顔を上げる。すると続いて不気味な男の声が響いた。

「2年D組の御劔翔子さん・・・五階で矢部雪乃さんがお待ちです。
 北東階段を用いて五階までおいでください・・・グフフフフッ」

地の底から響いてくるような声だ。

「・・・いったい・・・どういうこと?」

理奈がいぶかしげな顔をしている。

「私にもわからないけど、とにかく行くしかないね。。」

すると今度は部長さんがわたしの腕をつかんで来た。

「だめよ!危険じゃないの。行ってはダメ。」

「でも、雪乃をほおってはおけません。」

すると今度はおじさんが意を決したような表情で言う。

「私も一緒に行きます!女の子一人を危ない目に合わせられません!」

「わたしも行くよ!!」「どうしても行くなら私もついていくからね!」「ぼ・・・僕も行きますっ!」

演劇部の面々まで口々に言い出す。
みんな心配してくれてるんだ・・・ちょっとばかしジ〜ンとしちゃうけど、
この人たちまで危険な目には合わせたくないし、正直に言えば足手まといでもある。
どうしたものかな・・・。

 

To be continued...

 

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