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著:ショウさん(@愚者の書庫)  絵:えもん氏

真闘姫 〜THE GIRL'S STRUGGLE FOR EXISTENCE〜 

 

第二十二話

 

〜麗峰学園五階・将姫&雪姫〜

「雪姫、あの霊どもをお願い。私もカラス野郎をさっさと片づけて加勢するから。」

「・・・(こくっ)。」

雪姫は黙って頷いてから矢をつがえ、霊に向かって放つ。
すると霊の集団は吹雪に襲われた。「吹雪ノ矢」だ。
霊はひるんでいる。あっちは雪姫にまかせて大丈夫だろう。

「いくよ、カラスめっ!!!」

私は村正を抜き、一気に間合いをつめてカラス野郎に斬りかかった。
ヤツはその斬撃を炎の剣で受け止めた。
鍔迫り合いになるが、腕力は大差がないみたい。
グイグイと押し合いながらカラス野郎は話しかけてくる。

「ほほぅ、かなりの腕前ですね。しかし、少々口が悪いようだ・・・私が教育して差し上げましょう!」

「けっこう・・・よっっ!!」

なんとか突き放して後ろに下がり、再び間合いをとる。
すると間髪入れずにカラス野郎が二、三言つぶやいたかと思ったら、火の玉が飛んでくる。

「くっ!」

私はなんとか火の玉を切り払った。とんでもないヤツだ。

「ほぉ、炎までも切り払うとは、良い剣をお持ちだ。おもしろい、クックックックッ・・・」

「そう、私の刀はなんでも切れるよ。たとえ地獄の侯爵サマとやらでもねっ!!」

そう叫びながら再び斬りかかる。今度は連撃だ。

「ハッハッハッ。口の減らないお嬢さんだ、やれるものならやってみるがいい!!」

ガキィン!ガキィィン!と火花を散らしながら激しい斬り合いになる。
私はしばらく打ち合いながら相手の隙をうかがっていた。
相手の大振りな一撃をかわして体勢が崩れたところに足払いを喰らわせる。

「ぐおっ!?」

カラス頭は見事にずっこけた。よし、もらった!そこをすかさず突こうとしたその時。
またヤツは何かつぶやいた。
くっ、火の玉!?そう思って下がった時、急激に眠気が襲ってきた。

「う・・くっ。。。」

「ふぅ・・・たいしたものだ。普通の人間ならば即座に熟睡していますよ。」

そう言いながらカラス頭が立ち上がって斬りかかってくる。

「くうぅっ・・・!」

何とか受け止めることが出来たが・・・マズイ・・・すごい眠気だ・・・。

「ほぅら、眠ってしまいなさい・・・その間に気持ちよく冥土へ旅立てますよ。クククッ!」

ヤツはそう言って、もういちど斬りつけてきた。
なんとか避けて距離をとる。
眠り込むことは無いだろうけど、まだ頭がうまく回っていない・・・。
こうなったら・・・
私は刀を鞘に収めた。

「どうしました?もう降参ですか・・・クックックックッ・・。」

「えぇ・・・今にも眠ってしまいそう・・・ひと思いにお願いね・・・。」

「ハーハッハッハッハッ!そうですか。では、その首、頂きましょう・・・。」

よし、ヤツはすっかり油断して無造作に歩いてくる。
そう、もう少し・・・もう少しだ。

・・・その時、突然ヤツは加速して斬りかかってきた。

「ちっ!」

私は脇に抜けてそれを避けた。
カラス頭は私の方を振り返っていう。

「フハハッ!愚かな、悪魔を謀ろうなどと・・・
 日本刀を用いた剣術には抜刀術なるものが存在することぐらい知っていますとも。」

カラスの頭なので表情はわからないが、さぞ得意げな顔をしているのだろう・・・。

「う〜ん、残念。」

知ってたのか。。。

「クックックックッ・・・。そういうことです。さあ今度こそ終りに・・・・」

「本当に残念ね・・・たとえ抜刀術は知っていても、私の居合いをかわせたヤツはいないの。」

「おわり・・・・おわっ・・・・ば・・バカな・・・バカ・・・・なっ」

そう、ヤツの脇を抜けた時に斬りつけていたというわけ。

セリフも言い終わらないうちにカラス頭は胴体がずれてきて、
お腹から上がゴトッと音を立てて地面に落ちた。
やがて黒い霧が立ち上り、蒸発するように消えてしまった。
ざまぁみろ。
さて、雪姫のほうは、っと・・・・
あぁ〜、最後の一体が凍結して砕け散ったところだ。

「グオォォォォォォォォォ」

霊の断末魔の叫びが響き渡った。

「・・・・・姉さんの方は終わった?」

「うん、ごらんの通り。さて・・・これからどうしようか・・・」

なんて言いかけたとき、
ガラガラガラガラッ、と音がして
北東階段と南東階段のシャッターが上がっていくのが見えた。

「あれま。これで終りなのかな。今のがいわゆるラスボスかぁ?」

「・・・・・。」

ともかく、放送室前に置いてきたみんなの所に行ってみないと。

 

雪姫を促して私たちは二階に向かったが、みんなまだ眠っていた。

「みんな、起きて!出られるかもよ!!」

雪姫と手分けしてみんなを揺さぶって起こしていく。

「んんっ・・・あ、あれ?翔子?どうなったの????」

理奈が目を覚ました。他の人たちも順次目を覚ます。
訳が分からないと言ったような顔をしてる。

「みんな、シャッターが開いたの。昇降口も開くかもしれない。」

「「「「えっ!!」」」」

みんながいっせいに驚きの声を上げる。

「ほんとに!?」

「やっと帰れるのかぁ・・・」

「やった!!すぐ行ってみようよ!!」

「あぁ、事務室も開くだろうか・・・。」

みんな思い思いにいろんなことを言いながら立ち上がる。

「うん、みんなで行ってみよう!」

はたして、昇降口も無事開いたのだった。はぁ、よかった。
みんなで今日はいったい何だったんだろう、とブツブツ言いながら帰りましたとさ。
めでたしめでたし?

〜某所・?〜



A「・・・わりとあっさり・・・やられちゃいましたね。」

D「えぇ・・・まさかあれほどとは思いませんでした。
  でも、今回はこのことが解っただけでもよしとしましょう。」

A「そうですね、あちらのアイテムもわかったし・・・。」

D「さてと・・・今日は遅いし、後の二人には明日話しましょう。」

A「そうですね・・・それじゃ、さようなら。」


To be continued...

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