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著:ショウさん(@愚者の書庫)  絵:えもん氏

真闘姫 〜THE GIRL'S STRUGGLE FOR EXISTENCE〜 

 

第二十五話

 

〜麗峰学園・将姫〜

タダでさえ憂鬱な月曜日の一時間目。
ウチのクラスはよりによって数学なのだ。イヤだな・・・。
黒板にはLogなんたらかんたらと書かれていて、先生が説明しているけどよくわかんない。

窓の外を見ると、とても良い天気。ポカポカと心地よい陽気だ。
う〜〜ん・・・よし!

わたしは、熟練の暗殺者のごとく気配を殺し、匍匐前進で後ろのドアを目指す。
ふっふっふっ、隣の理奈だって気が付いてない。カンペキだ。

まんまと教室を脱出した私は屋上を目指した。
日当たりの良い絶好の昼寝スポットがあるんだもんね。

教室から一番近い南西階段を上って屋上のドアを開ける。
春の日差しが心地よい。
この学校の屋上は花壇や芝生、ベンチも完備しているんだよ、すごいよね。
私はマイベストスポットの芝生に目をやった。

・・・なんと先客がいた。芝生の上には女の子が気持ちよさそうに寝ていたのだ。
ちっ、他にも目を付けた奴がいたなんて。
なんだか悔しいので、起こしちゃえ。

そろそろと近づいて、距離が3メートルほどになった時、
女の子はガバッと身を起こしてこっちを見る。
なかなか気配に敏感なのかもしれない。
しかたがないので私はあいさつする。

「おはよう。良い天気だね。」
「・・・アンタか。」
「へ?どこかであったっけ?」
記憶にないな・・・。

「この間、ここに来たらアンタが寝てたよ。あたしは起こさなかったけど。」
う、ぶっきらぼうに皮肉を言われてしまった。お互い様だったのか。

「あはははっ、悪い悪い。起こすつもりはなかったんだ。(ウソだけど)」
とりあえず笑ってごまかすことにする。

「ま、いいよ。こんな天気のいい日に月曜の一限なんて出てらんないよね。」
そう言って女の子も、ふふっと笑う。同志だ。

「そうそう。ウチなんか数学だよ。」
そう言って私は女の子の隣に腰をおろした。

「コッチは英語。」
女の子は芝生の上に大の字になって伸びをした。

「あ〜あ、ここはサイコーだね。」
「うんうん。ベストプレイスって奴?」
「ふふふっ。だね。あたし、不破 焔(ふわ ほむら)。アンタは?」
「わたしは御剣翔子。」

そうして私たちは、あの先生はどうだの、
何組の誰某はカッコイイだのと無駄話をして昼休みまで過ごしたのだった。



〜放課後・雪姫〜



朝、この学校に着いてから、どうも妙な気配を感じるのだけど、
結局、何事もなく放課後になった。

毎日、放課後に校舎内を意味もなくうろつき回っているのも怪しまれるので
今日はわたしも姉さんもまっすぐ帰ることになっている。

荷物を持って席を立つと、隣の由美子も立ち上がった。
「雪乃、帰るなら一緒に帰ろうよ。」
「・・・部活は?」
由美子は合唱部に所属していて、いつも練習があるはずだった。

「今日は歯医者に行くからお休みするの。イヤだけどね・・・はぁ。」
由美子は溜息をついて苦笑した。
「・・・そう。それじゃ、帰りましょう。」
「うん。」
そう言って二人で教室を出た。
廊下を数歩歩くと、今朝から感じている気配が不意に大きくなったような気がした。
そして、窓の外を鳥のような何かが横切った。
「?!・・・・・・。」
わたしは思わず立ち止まって窓の向こうを見る。

「雪乃?どうしたの?」
由美子が怪訝な表情で聞いてくる。
「・・・いいえ・・・なんでもない・・・」

その時だった。上空の方から黒い影が猛烈な速度で
こちらに向かって突っ込んでくるのが見えた。
速い!しかし避けたら由美子が危ない。

「ふせて!!」
即座に判断した私は由美子を抱きかかえるようにして倒れ込む。
影がガラスにつっこんできたのはそれとほぼ同時ぐらいだった。
派手に窓ガラスが割れる音がして、辺りに破片が飛び散った。

To be continued...

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