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著:ショウさん(@愚者の書庫)  絵:えもん氏

真闘姫 〜THE GIRL'S STRUGGLE FOR EXISTENCE〜 

 

第二十八話

 

〜古書店『愚者の書庫』地下室・将姫〜

私は地下へと続く階段を転がるように駆け下りた。
闇姫様の部屋まで直行する。

「闇姫様っ!!」
叫びながらドアを叩くとしばらくして中から返事が返ってきた。
「どうぞ。」

たくさんの本棚の間を抜けて部屋の奥に行くと、闇姫様が読んでいた本を閉じてこちらを振り返った。
「どうしました?」
「雪姫の様子が変なんです!」
「変?と、いうと?」
「え〜っと、とにかく来てください!」
「わかりました、行きましょう。」

二人で一階に上がってくると、氷のうが独りでに床を歩いてる?
と、思ったらショウがよろよろと大量の氷を詰めた氷のうを運んでいるのだった。
「はい、ご苦労さん。」
私は氷のうを持ってやった。
「ふう・・・重かった。。。あっ、闇姫様!」
ショウが急にピシッとなる。現金なヤツだ。
「氷のう?雪姫が熱を出したのですか?」
「そうなんです。」
「ふぅーん・・・それはおかしいですね。」
何か考え込むような仕草をする闇姫様。
「とにかく行きましょう・・・・ショウ、おいでなさい。」
闇姫様がしゃがんで手を伸ばすとショウは肩まで登ってちょこんと座った。

雪姫の部屋に着いたが、雪姫の様子はあいかわらずだ。
いや、気持ち顔色が悪くなっているような気がする。
「雪姫、氷だよ。」
氷のうを頭の上に載っけてやるけれど返事はない。
大丈夫かな・・・・。

ふりかえると闇姫様が顔をしかめている。
「闇姫様・・・どうしたんですか?」
「これは・・・おそらく何者かが呪術を使っています。」
「呪術!?・・・じゃあ、連中が?」
「ええ。そう考えて間違いないでしょう・・・。」
「ちっくしょう・・・姑息な事ばっかりしやがって。」
「それだけアチラも慎重になっているってことでしょう。
・・・とにかく今は雪姫をなんとかしなくてはね。」
「でも、どうすれば・・・。」

闇姫様が肩にのせていたショウを下におろして言う。
「ショウ、鬼姫を召喚します。準備して。」
「はい!行ってきます。」
ショウはスタスタと部屋を出て行った。

「なるほど・・・鬼姫か。」
たしかに鬼姫は呪術が専門だ。
「ですが、鬼姫は今、別の任務じゃないんですか?」

「やむえません。それにアイテムの奪回は急務です。
こちらを優先しましょう。それじゃ、雪姫を見ていてあげて。」
「はい、わかりました。」
鬼姫、早く来てね・・・。



〜『愚者の書庫』地下・闇姫〜



地下に降りて召喚の間に行くと、ショウがすでに儀式の準備をしていた。
「準備が出来ました!」
「ありがとう、ショウ。もう上にいってていいわよ。」
「は〜い。」
ショウはホッとしたような表情で返事をして出て行った。
私は魔法陣の前に立ち、呪文を唱える。

「・・・我は求め訴えたり。

 イニシエの契約と地にまします我らが父の名によりて汝が主・闇姫が命ず。

 闇来たれ、汝、「鬼姫」!!!」

魔法陣が輝きはじめ、光があふれ出す。
光が静まると十二単に身を包んだ姫が立っていた。

「我が主、闇姫様・・・"怨霊"の鬼姫・・・あなたに従います。。。」

「急に呼び出してごめんなさいね。事態が事態だったものだから・・・。」
鬼姫が不安げな顔をする。
「何があったのですか・・・?」
「雪姫の部屋に行って。たぶん、呪いをかけられているわ。」
「雪お姉様が・・・。わかりました。」
鬼姫は一礼してしずしずと部屋を出て行く。
あの子なら、なんとかしてくれるだろう。


To be continued...

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