ラグナ記

戻る・TOPへ

１０２回目「あぷりコット、大地に立つ」

　わたしの名前はあぷりコット
　　　　　　今まさにラグナロクの世界に降り立ったばかりの無垢な天使
　自分で自分のことを無垢とか言うでない

　はっ、あなたは誰？

　私の名前はポリン仮面
　　　　　　右も左もわからぬノービスを正しき道に誘う者だ
　ふーん、そう　とりあえずその帽子似合ってない

　そうか？　わりといい感じだと思っているのだが
　　　　　　まあ、新入りのノビごときには
　　　　　　この素晴らしいセンスがわからんという事だな
　　　　　　でだな、これからお前にラグナロクの世界が
　　　　　　どういうところかというとだな
　　　　　　一言で言うと魑魅魍魎の跋扈する修羅の国だ
　漢字が難しくて読めない

　……ちみもうりょうのばっこするしゅらのくにだ
　　　　　　巷には詐欺師が表示価格を偽った露店を開き
　　　　　　狩場に行けば無言で走り回る怪しい連中がわんさかいる

　さらに毎週日曜夜ともなれば
　　　　　　砦の利権を求めて攻城戦が行われる
　　　　　　か弱い乙女に屈強な騎士達が寄ってたかって斬りまくるその姿は
　　　　　　まさに仁義なき戦いというほかない
　こ、ここはそんなに恐ろしいところ？
　　　　　　……ところでこの写真の右下の騎士は
　　　　　　ポリン仮面によく似ている

　いや、そんなことはないぞ　うん
　　　　　　それはまあ、おいといて
　　　　　　この世界の恐ろしさはまだまだこれだけではないぞ

　この男は首都で鍛冶屋を営むホルグレンという奴だ

　この鍛冶屋がなにか？

　首都にはブラックスミスと呼ばれる鍛冶屋が沢山いるというのに
　　　　　　武器防具の精錬業務を行っているのはこの男だけなのだ
　　　　　　おそらくコヤツは裏でマフィアかなにかとつながっていて
　　　　　　自分以外が精錬業務を行えないよう圧力をかけているのだ
　卑劣……

　さらにこの男はクホホの掛け声とともに
　　　　　　精錬を受注した武器防具を容赦なく砕くのだ
　そんなことをしたらお金がもらえない

　ふん、報酬など前金で受け取り済みだ
　　　　　　そして失敗しても返金はしない
　　　　　　おそらく精錬を行えるのが自分だけなので
　　　　　　故意に失敗をして客から二度三度と金をとる算段なのだろう
　　　　　　一度成功してしまえばそれっきりだからな
　そんなの横暴　ひどすぎる

　そうだ、ここはひどい世界なのだ
　　　　　　この世界で生きる術はただ一つ、それは戦う事
　　　　　　戦わなければ生き残れないのだ
　戦わなければ生き残れない……

　そうだ、戦うのだ
　　　　　　己の拳で敵を砕け　屍を超えていかねば生き抜けない
　　　　　　修羅だ　お前は修羅になるのだ
　修羅……
　　　　　　わたしは戦う　そして生きるっ！
　そうだ　その意気だ　ククク
　　　　　　若いモンを誤った道に導くのは楽しいのぅ

ではまた

次へ・戻る・TOPへ