ラグナ記

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114回目「あぷりコット、掃除する」

 

 ワイロを持ってきた 魚心あれば水心 わたしをモンクにしろ

 ワイロとか言うでない 人聞きの悪い

 人に猿のしっぽとか青ハーブとかもってこいといっておいて
      これがワイロでなければなんだ
 うるさい! 修行の一環だといっているだろっ!

 ならばこれは渡さなくてもいい

 いや、もらえるものはもらっておく ワイロでなく政治献金ということで

 ちゃんと領収書を切ってくれ 政治資金規正法にひっかかる

 うむ、経理担当者に言ってあとで送らせる

 そうか、よろしくたのむ

 ……裏金にしようったってそうはいかん
      長老よ、今すぐこの場で領収書を出せ
 ちっ、やむを得ん 領収書を出そう……

 あぷりコットよ、危なかった
      汚職事件に巻き込まれるところだったな
 お食事券なら是非欲しい 今日のお昼はなんにしよう

 いや、そうじゃなくて……

 ちがうのか 汚職事件? なるほどそっちか
      さすがポリン仮面、よく汚職だとわかったな
 うむ、慣れてるからな

 汚職に慣れてる?

 いやまあ、気にするな それより早くモンクになってしまえ

 そうだった わたしはモンクになるのだ 長老よ、はやくしろ

 (おのれ、コケにしよって……)いや、まだじゃ
      まだおぬしをモンクにするわけにはいかん
      モンクになるためには更なる試練が待ち受けておるのじゃ
 試練? なにをすればいい?

 うむ、当寺院の農業担当者の話を聞いてくれ

 聞いてやる 話せ

 我らは精神修行の一環として簡単な作物を栽培している
      しかし最近、その作物の周りに
      ひどい臭いを放つキノコができてしまってな
      それを刈り取ってきて欲しい
      ちょうど人手が足りなくて困っておったのだ

 ん、なんだ? なんか不満でもあるのか?
      いや、別にやらんでもよいのだぞ
      やめてもモンクになれなくなるだけだからな
 長老はわたしのこと嫌い?

 うん、だいぶ

 公私混同も甚だしいな

 うるさいっ 権力は使うためにあるんだっ!

 わたしは権力者によって不当に虐げられている
      そのうち週刊誌の記者とかが取材に来る
 なんだ貴様っ! ワシを脅すつもりかっ!!!

 ……この修道院はもう長くはないな

 出版社にたれ込むには、まず虐げられた事実を作らねば
      ということでとりあえずキノコ狩りに行ってくる

 掃除もロクにしないとは修道院失格だ
      長老の心が汚れると寺院そのものも汚れるのだな
 あぷりだって洗濯全然してないだろう

 この間熱消毒してもらったから大丈夫だ
      それはそうとポリン仮面よ
      修羅が洗濯になど気をとられていてはいけないと言ってなかったか
 あー、そうだったな まあ、モンクになったら洗濯していいよ

 そうか、では今後は洗濯することにする
      それはともかく、えっさほいさ……さあ、終わったぞ
 うむむ、もう終わったのか

 AGI型だから仕事が早いのだ
      さあ、わたしをモンクにしろ
 い、いや まだだ 次は試験だ 試験を受けてもらうぞ!

 なにをムキになっているのか?
      カルシウム不足はよくない 煮干食え
 いいから早く行けっ! あーイライラするっ!

 よくそんなので長老になれたな

 そんなもん裏金集めてばら蒔けば一発じゃ!

 ふむ、なるほど で、誰と誰にばら蒔いた?

 大聖堂の先代大司教と国王トリスタン3世の側近だっ!
      そんなこと訊かんでもわかるだろっ!
 なるほどそうか ふーん

 長老、ちょっとは落ち着いたほうがいいぞ

 ん? あっ、今言ってはならん事を言ってしまったような……

 いやいや、気のせいじゃないかね 何も聞いてないぞ

 そ、そうか よかった……

 ともかく試験とやらを受けに行く
      ……ここが試験場か

 ここの連中は注文が多くてよくない
      そのうち体にバターを塗れとかいうかもしれない
      なので逆らってみる

 騒いでみたが何も起きなかった つまらん
      さっさと奥に行く 試験官はどこだって……うわっ

 これが亀仙流奥義「太陽拳」か

 太陽拳を最初にしたのは天津飯だから鶴仙流だろう

 んー、どっちでもいいんじゃないか
      後に悟空もクリリンもやるんだし
 何の話をしとるのか、お前らはーっ!
      太陽拳なんてワケわからん事言うなーっ!
 この人もカルシウム不足か 煮干食えよ

 これが太陽拳でないとすればなんなのだ
      そもそも、なんのエネルギーでそんなに輝いているのだ
 この光は我が気の力
      ワシは長年の修練によって強靭な肉体とともに
      気功の力を手に入れたのだ
 体を鍛えると気の力とやらで頭が光るようになるのか

 頭が光ってるわけではないーっ!

 では他にどこが光る?

 いやいや、髪がないからといってもな
      頭が光を反射する事はあっても自ら光ることはないだろう
      きっと電球か何かを仕込んであるんだろう
 そんなわけあるかーっ!

 エネルギーの無駄遣いはよくないぞ

 お、おのれら〜っ!!!!!!(ぷちっ)きゅうぅぅぅ……(昏倒

 あ、倒れた カルシウム不足恐るべし

 なんか前もこんな事あったような……

 そんなことは気にしない ところで試験官はどこだ?

 んー、このおっさんが試験官だったのかな

 そうか 試験官を倒したので試験は合格だな

 ……試験って試験官を倒す事だったのか?

 細かい事は気にしない 修羅を一途に進むのだ
      さあ、モンクになるぞ!

 試験官は倒した さあ、わたしをモンクにしろ

 試験官を倒した!? まさか、あのマッチョを倒すとはっ!

 やっぱり試験とは試験官を倒す事だったのか……

 ぐぬぬ、仕方ない お前をモンクにしてやる
      さあ、これから365個の経絡を突くぞ。動くなよ!
 なるほど、そう言ってイタイケなアコライトにセクハラをするのだな

 そうそう、胸の経絡を突くと言って
      先っちょをツンツンって……違うわーっ!
 セクハラはよくない 某府知事もそれで辞職した

 与太話などいらぬ
      もうお前の顔など見たくないのだ さっさと済ませるぞ
      チョイヤー!オワタァ!ヌオリャ!!(グキ)アタタタタッ!!!
 こんな奴でもさすがは長老 すごい気合だ

 んー、最後のは気合じゃないような……

 こ、腰がぁ〜っ!
      やはり……老いには勝てぬ……
 どうやらギックリ腰らしい

 そうか、ちょうどいい
      このまま大聖堂まで担いでいって告発しよう
      汚職未遂とか、先代大司教及び国王側近への贈賄とか、セクハラ容疑とか
      いろいろとあるみたいだからな
 え、ちょっと待って それだけはご勘弁をー

 クックック、あきらめるんだな
      社会の悪を掃除するのは騎士の勤め
      修道院長老の汚職を暴いた功績で
      騎士団での私の地位も上がろうというものよ
 もはやこれまでか……

 ところで、長老がこうなった今
      わたしはどうやってモンクになればいい?
 んー、そこにモンク用の服がおいてあるから
      サイズのあうのを探して着替えなよ
 いいのかそれで……


ではまた

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