ラグナ記

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144回目「あとは若い二人に」

 

 フン! なによ、こんなところまで追いかけてくるなんて
      ストーカーじゃないんだからいい加減にしてよね!
      ところで、ここはどこだろう?……あっ 

 

 うみだー
      でも一人で見ても寂しい・・・
      あたし、なにやってんだろ

 (ふむ、ようやく見つけたぞ 
       さてどうやってからかってやろうかの)(物陰から 

 フェイヨンにはもう戻れないわ
      海の向こうまで行けば アイツから逃れられるかしら
      まずはこの森を抜けないとね

 (フェイヨン迷いの森を一人で抜ける気か 無謀よのう)

 この森って強いモンスターとかいるのかな……
      でもあたしは何でも一人で出来る
      さー アルベルタ目指して出発よー! 

 (意地だけで動いておるなあ 危なっかしい奴だ) 



 な なんか出たっ!
      モンスターなんか恐くない! 恐くないんだからねっ
      キツネなんかには負けないんだから

 (バカ者、それは九尾の狐だ!) 



 キャー 痛い痛いー 何よキツネのくせにー

 (あっさりやられたな しょうがない奴だ) 



 ザコ狐め この騎士が成敗してくれよう
      ふん はっ とうっ!

 うーん・・・

 いかん 気絶しておる
      これでは私が楽しめんではないか しっかりせよ

 あ…… リンゴの騎士様
      あたしを助けてくれたんですか?

 気が付いたか まったく無茶をしおる

 だって・・・ あたしもう一人で行かなきゃならないんだもの

 狐一匹 倒せぬくせに偉そうなクチをきくものではない 

 は、はい…… 

 何でもできるなどと言うのは何もできない証拠だ
      身のほどをわきまえるのだな
      だいたい ほへいと一緒ではなかったのか? おうめよ
 えっ どうしてあたしの名前を・・・?

 ん あー 私はなんでもお見通しなのだよ

 ごめんなさい 騙すつもりじゃ
      ちょっとワケありで…
 うむ わかっておる

 でもほへいは きっと怒ってると思うから もう会えません…

 あいつは単純だからな そんなこと気にはせんよ

 そうかな…

 ほへいの師である 私の言葉が信じられぬと申すか

 いえっそんなこと……そうだ あたしを弟子にしてください
      強くなれば、一人でも生きていける!
 ふむ 強くなれば一人でもか、若いのう
      しかし私はフェイヨンの防衛で忙しい
      今もたまたま巡回中だったのだ 散歩をしているのではないぞ
      強くなりたいならほへいに習うが良い
 えっ でもあいつ弱いですよ
      砂漠オオカミから逃げてばっかりだったし
 ほへいには クルセイダーを一人育てたキャリアがあるのだ
      それにほへいはお前が思うほど弱くはない 保証しよう
      まあ、とりあえずアルベルタまで送ってやる ついて参れ

 

 やっとアルベルタに着いたな

 あ、お師さま!?

 おう、ほへい こんなところで会うとは奇遇だな
      こんなところで何をしている?
 おうめちゃんが一人で行っちゃったから探していたんです
      海に行きたいって言ってたからアルベルタにいないかなと思って
 ふむ、それはなかなか良い推理だ

 ……ほへい、なにしに来たのよ

 あっ、おうめちゃん 探したよ また会えてよかった

 ククク また会えてよかった、か
      まあ、あとは若い二人に任せて、年寄りは退場だな(去る
 あ、お師さまどこいくんですかー

 ……あたしに文句を言うために探してたっていうの?

 へ? なんで?

 だって、あたしのこと怒ってるんでしょ
      名前も隠してたし、一人で逃げ出したし
 えー、べつにそんなこと怒ってないよ

 じゃあ何? アイツに言われて追いかけてきたのね

 あぷりのこと?
      確かに妹を頼むって言われたけど
 ほらやっぱり お目付役をしに来たんでしょ

 別に見張りとか頼まれたわけじゃないよ
      それにあぷりに言われなくても僕はおうめちゃんを追いかけるよ
      おうめちゃんと僕は仲間だって言ってたでしょ
 ……そういやそんなこと言ってたわね
      わかったわ、追いかけてきたこと許してあげる
 わーい、ゆるしてもらったー ……ってなんかおかしいような

 フンッ バカなほへい

 あはは、たまに言われるよ〜

 ほんとにバカなんだから……

 おい!

 うわわっ!

 あー、お師さまおかえりなさい

 宿をとってきてやったぞ
      森の中をうろついたりして疲れただろう
      二人とも今日は休むがよい

 ありがとうございます

 うむ、宿は町の北にある
      ゆっくり休むとよいぞ、クックック
 なんでお師さま笑ってるのかな?

 

 豪華なホテルだねー 廊下がこんなに広いや

 さすがリンゴの騎士さま 甲斐性があるってすばらしいことね

 ごめんね 僕は甲斐性無しで

 なんで謝るのよ 甲斐性なんてあたしもないわよ

 うん、そうだね

 そこはあっさり肯定しないのっ

 あはは えっと、部屋は二階だって 早く行こう

 

 こ、これは……

 ダブルベッドね

 ほ、他にベッドはないのかな?

 ないわよ

 さっきお師さまがクックックって笑ってたのはこれの事だったのか

 ……これに二人で寝るしかないのね

 えっ、それでいいの?

 しょうがないでしょ でも……

 ならいいわ 早く休みましょ あたし、疲れちゃった

 うん……

 じゃあおやすみ…… すやすや

 あれ、おうめちゃんもう寝ちゃったのか
      でも僕はまだ眠れそうにないよ
      おうめちゃんがあんな事言うから…… そうだ!


………………………………………………………


 あ〜、よくねた
      ……あれ? ほへいがいない どこいったんだろ

 あ、おうめちゃんおはよー よく眠れた?

 ほへい、こんなところで寝てたの?

 おうめちゃんは疲れていたから 広いほうがいいでしょ
      それにこのソファー ふかふかで寝心地よかったよ 

 ……りがと

 えっ? 今なにか言った?

 なんでもないっ!


ではまた

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