ラグナ記

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151回目「遠き理想郷」

 

 おうめちゃん これからどうしようか

 あたしは 世界の色んな場所を見てみたい
      まだ見ぬ土地ならどこだって行くわ
 海外は龍之城に行ったばかりだし
      ミッドガルド大陸なら南西部か北だけど…
 北には何があるの?

 あっちはシュバルツバルド共和国
      街はいくつかあるけどちょっと危ないから、今は無理だよ
 もっとレベルを上げないとダメ?

 行けなくはないけど
      近頃は共和国との関係が不安定だから
      今は用心して近づかない方が良いと思うんだ
 ふーん 仕方ないわね
      でもどうして関係が不安定なの?
 なんか共和国の製鉄所で事故がおきたんだけど
      それが王国のスパイのせいだって言ってもめてるんだよ
 そうなの? おっかないわね
      じゃあ今回はパスするわ
 それじゃ南西のコモド方面に行ってみよう
      西の果てには世界を支えるというイグドラシルの樹があるんだ
      世界樹の森は深いけど、今のレベルなら大丈夫だよ
 うん決まりね なら出発よっ

 
 ねぇほへい
      世界樹の森ってまだ遠いの?
 世界樹は首都プロンテラからずっと西の森にあるんだよ
      コモドやウンパラより奥の秘境だからね
 世界って本当に広いわね
      知らない場所ばかりよ
 今日中には砂漠を抜けきらないから
      モロクの街で宿をとろう
 モロクね あまり気が乗らないわ
      あの街 ちょっと苦手なんだもの…
 以前にアルバイトしていた店なら安く泊めてくれるよ
      長旅だから節約しないとね
 そっか 装備を買ったからお金が…
      あたしがもっと稼がないと
 えーと、別に気にしなくていいんだよ
      あのお金は龍之城で一緒に集めたアイテムの分だし
      元々おうめちゃんの装備を買いたかったんだ
 そ、そうなんだ
      気にして損しちゃったわ フンッ
 さぁ モロクの街が見えてきたよ
 

……………………………………………………………………
 

 
 店長こんにちは お久しぶりです

 おぅ坊主じゃないか 元気そうだな

 今夜一晩泊めてもらいたいんですけど

      部屋は空いていますか
 んん まぁ空いてはいるんだが…
      ちょっと今、オレが新しく出す店の開店準備の方が忙しくてな
      人手が足りてないもんだから、宿まで面倒見られねぇ
      それでいいんなら 泊まっていきな
 ありがとうございます
      ところで どんな店を出すんですか?
      あのレストランのチェーン店かな
 いいや、あそこは儲かってるから街に2つは要らん
      今度の店は新しい客層の取り込みを狙ってるんだが
      あ〜〜くそ、店員が足りねえんだよなぁ!
 ・・・

 最低でもあと一人はウエイトレスが居ねぇと店が回んねぇ

      あと1週間あればバイトも充分確保できるんだが
 だったら あたしを雇いなさいよ
      その間、住み込みで働くから宿代はチャラでどう?
 むぅ そりゃありがたいが

 お、おうめちゃん いいの?

 1週間ぐらいどうってことないわ

      世界樹はどこにも逃げないし それに節約するんでしょ
 それなら僕も厨房で働きますよ 店長
      しばらくお手伝いさせてください
 勝手の分かっている坊主もいてくれると助かる
      そんなら三食付きで宿賃無料だ!
 やった 約束よ!

 おう 男に二言は無ぇぜ

      さっそく中に入ってくれ 衣装合わせをするからよ
 

……………………………………………………………………

 

 
 店長 新しい店はどんな料理を出すんですか
      僕も材料の仕込みをしないと
 いやいや、今度の店は喫茶店だ
      飲み物と軽食中心になるから、それほど凝らなくていい
      どうせ客は料理の味なんか 大してわかりゃしねえよ
 どういうことですか?

 坊主よ お前ぇも冒険者ならカプラサービスを利用するだろう

 はい します

 うむ この世にカプラさんは無くてはならねぇもんだ

      冒険者の中には カプラ職の実装を心待ちにしている者もいるぐらいだ
 そんな人ほんとにいるのかなぁ?

 うむ、少なくともオレは心待ちにしている

      しかしどんなに憧れを抱こうが、カプラサービス本社への就職は超難関だ
 まぁそうですね
 
 
 彼女たちの手腕は見事だ
      なんたって超難関を突破してきたエリートだからな
      あらゆるアイテム管理を一手に引き受け 笑顔を絶やさない乙女たち
      誰もが彼女らにトキメく! 萌える! なぁお前ぇもそう思うだろ?
 は、はぁ・・・

 そ・う・思・う・だ・ろ・う・? なあぁ!!

 は、はい思います! カプラさん萌え萌えです!

 
 そう、カプラさんは萌える!可憐で美しい!
      だが人数が少ないので いつも大忙しだ
      あぁカプラさんを独占して
      心ゆくまでお喋りできたなら死んでもいい……
 いえ、僕は別にそこまでは……(汗

 そこでオレは考えたのさ!

      カプラさんが給仕してくれる店があったならば!!
      そこは遠き理想郷! そこは幻想庭園! 天使の歌が響く聖地!
      これ即ち カプラ喫茶なのだ!!
 カ、カプラ喫茶!?

 ちょっとお父ちゃん!

      さっきから大声でなに言ってるの
      ドアの向こうまで聞こえてきたよ まったく
 あぁすまんすまん 熱が入っちまった
      紹介しよう 娘のオトめだ
 あ 君がほへいくん?
      わたしはオトめ オトちゃんの帽子が目印のオトめよ
 よろしくお願いします

 こちらこそよろしくね

      それより、おうめちゃんの衣装合わせ 終わったわよ
      ほら、出てらっしゃ〜い
 

 
 む・・・(赤面

 うわぁ・・・

 ちょ ちょっと店長 こんなの聞いてないわよっ

      あたしがカプラさんの格好するなんて
      恥ずかしくて 接客なんて出来るわけないじゃない!
 ふむ けど約束は約束だからな
      しっかり1週間は働いてもらうぜ
 うっ・・・わかったわよ
      やれば良いんでしょ やればっ
      ほへいは見るの禁止だからね!!
 えー

 まぁまぁ これが慣れてくると楽しいのよ〜

      コスプレの醍醐味ってやつよね
 おうめちゃん可愛いよ よく似合ってる

 ななな 何言ってるのよバカ!

      からかわないでよね
 そんなことないよ ウエイトレス頑張ってね

 むきー!

 ふぅん なるほどね…

 お〜いおっさん なに遊んでんだよ

      さっさとこっち来て 内装を手伝いな

 こらこら店長と呼ばんか まったく

 あーごめんごめん気をつけるよ それでおっさんさぁ

      フロアのテーブル配置とか見に来てくれよ(退場
 わかっとらんなぁ…
      まぁオレはちょっとフロア準備に取りかかるから
      後のことはまかせたぞ オトめ(退場
 がってんしょーち!
      じゃあ今からメニューリストの確認をするから
      二人とも来てちょうだい
 

……………………………………………………………………

 
 あっ バイト間に合ったんだ
      チョー助かるッスよ〜♪
 紹介するね この子もカプラで入ってるリンちゃん
      こっちはおうめちゃんと 厨房担当のほへい君よ
 よろしくおねがいします

 リンリンでーっす♪ よろしくね

      おっ ほへい君はなかなかイケてる…っていうかカワイイ系?
      ねぇねぇ、リンリンとどっか遊びに行かない?
 え、えっとぼくはこれから仕事が…

 むむっ!

 リンちゃん オープン前からサボる気?

      困るのよね〜 まだまだ準備がたくさんあるんだから
 ジョークよジョーク♪ よろしくッス 二人とも
      仕事で分からないことがあったら 何でもオトめちゃんに聞いてね
      リンリンに聞いても 答えられないッスよ
      途中までしかマニュアル読んでないしー
 リンちゃんも覚えるのよ

 まったく皆さんはメイドの心得がなっておりません!

      よろしいですか? メイドとは御奉仕の心が重要なのであり
      マニュアル接客などとんでもありません
 
 
 えっと だれ?

 あ、この方はアリスさん

      お父ちゃんが連れてきた私たちの先生よ
      御奉仕のプロフェッショナルなんだって
 昨今では、そもそも賃金労働者に過ぎないメイドに対して
      忠誠心を求めるのは詮無いことだなどと申される
      半可通の方もいらっしゃいますが、
      真のメイドは立派な主君に尽くせることこそ至上の喜びであり……
 も〜 またアリスちゃんのメイド講義が始まっちゃった
      リンリンは退屈ッスよ プ〜
 はいはい、ともかくここはカプラ喫茶ですから
      アリスさんもメイドのお話はまた今後にしてくださいね
      さあ準備しようー!
 この店 大丈夫なの?


ではまた

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