ラグナ記

174回目「勇者じゃすこ」

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 魔法の火壁が突破できません 攻めあぐねています

 無理に攻めても被害が出るだけだ
      ゲフェンの魔術師どもは昼夜魔法を出させ続けて疲弊させよ
 持久戦ですか

 やつらの魔力も無限ではない いずれ力尽きる
      こちらは深淵の騎士が蓄えた補給物資がグラストヘイムにある
 なるほど、戦局は長引けば長引くほど
      我々の有利に傾くというわけですね
 そうだ、我々はただ奴らを休ませないよう
      牽制だけしておればよいのだ

 

 いつまでファイアーウォールを続ければいいの……?

 今はまだなんとかなっているが、このままでは……
      首都からの援軍はまだ来ないのか!?
 援軍は必ず来ます 今しばらく持ちこたえるのです

……………………………………………………………………

 たのもー ゲフェン救援部隊はここか?

 お邪魔いたしますわ

 私達でゲフェンを救いましょう

 じゃすこ隊の参加者が集まってきたです
      これもじゃすこの人望のおかげですぅ♪
      リンゴの騎士様がお留守なのでじゃすこが代わりにがんばるですぅ
 やあ、じゃすこちゃん

 これはこれはほへい先生です おひさしぶりですぅ
      ほへい先生もじゃすこ隊に参加するです?
 僕はアルデバランに行くことになってて
      ちょっと挨拶に寄っただけなんだよ
      ぼんごん君も一緒なのかい?
 ぼんごんは様子を見てくるって先にゲフェンに行ったです

 そう…… それは残念

 おにいちゃーん 早く行かないと集合時間に遅れちゃうよー

 あっ、まいちゃん ごめーん
      じゃすこちゃん、ゲフェンの援軍がんばってね
      ぼんごん君にもよろしくね(退場
 ほへい先生、なんだか元気がなかったですぅ……

 ただいまー あれ、今のは……?

 ほへい先生なんて来てなかったですっ
      さあぼんごん、早く出撃するです!
 えっ あっ うん
      じゃあこれ、僕の書いてきたカンペだから読んでね
 ありがとうです 読むです
      ……国王親衛隊のじゃすこ大佐です
      われらじゃすこ隊は現在敵の攻撃を受けているゲフェンを解放するため
      ここに集結したですぅ!


 おー!

 我等はゲフェンを救うため、敵の拠点グラストヘイムを叩くです!
      ……あれれぇです ゲフェンにはいかないですぅ?
 うん ゲフェンを偵察してきたけど、
      敵は大軍だから正面から戦うより、
      補給線を断つほうがいいかなと思うんだ
      グラストヘイムへのルートはこうなるよ

 なるほどです ぼんごん賢いですぅ

 あら? 途中にオーク族の居住地がありますわね
      道中襲撃されたりしませんかしら?
 オーク族には通行の妨害をしないって約束してもらったよ

 オーク族がよくも簡単にそんな約束をしたもんだ

 うん、なんか僕が行ったらハァハァ言って喜んで迎えてくれたよ

 それは……

 じゃすこもハァハァ言われた事あるです
      あのときはヒドイ目にあったですぅ
 作戦は良くわかったよ で、演説の続きはどうなったー?

 ぼんごんのメモは漢字が多くて読むのが大変です
      だからもう演説はいいです
 えー せっかく書いてきたのにー

 じゃすこが言いたいのは一言だけです
      みんなで頑張って王様をまもるです
      栄光のミットガッツのために戦うですぅ!

 えいえいおー

 それじゃー出撃するです みんなじゃすこに続くですぅ!

 まってー

 ん? キミは?

 僕も連れてってください
      未熟ですけど、ヒールくらいならできます
      僕も少しでもお役に立ちたいんです
 小僧、なかなかいい心がけだが行き先は戦場だ 大丈夫か?

 遅れないよう、頑張ってついてきます!

 ぼ、僕がフォローするから大丈夫だよ
      (出会った頃のほへい君みたいで可愛い…… ぽっ)
 ぼんごんが赤面してるです なにやら妖しい空気ですぅ

 

 早くもグラストヘイム到着ですぅ

      ところでぼんごん、作戦はどうするです?
 今回は前衛多いし、支援はハイプリさんが二人もいるから
      僕は後方から攻撃参加でいくよ
 アタイも弓で後衛をやるよ

 敵は直接グラストヘイムに攻めてくるとは思ってないはず
      奇襲をかけるよ
 みんなぼんごんの言う通りにするです がんばるですぅ〜

 作戦は全部ぼんごんに丸投げなのか

 じゃすこは考えるの苦手ですぅ

 なんだそりゃー

 じゃすこはぼんごんを信頼してるです
      だからぼんごんに考えるのをお任せしてるです
 う、うん そう言われるとなんか照れるなぁ

 こういうのを「てきざいてきしょ」っていうです
      リンゴの騎士様に習ったです
      じゃあ出発するです
 では私が先陣を仕る

 ……あの騎士さん、凛々しくてきれいだなぁ

 (ガチャリ)戦闘準備完了 行くぞ!

 あー、兜と変な仮面がー

 アンタッ! 何見てんだいっ!

 ひっ!

 この宿六! ろくなこと考えやしないんだから!

 ハイプリさんとチェイサーさんは夫婦みたいだね

 奥さんおっかないですぅ

 持ってきた矢が足りないよ 町に戻ってすぐに取って来な
      遅かったら承知しないよっ!
 ご、ごめんなさい〜(退場

 ハイプリさんが帰っちゃったです
      戦う前から戦力ダウンですぅ
 じゃあ僕が支援に回るよ

 あの……

 どうした少年? トイレか? 先に済ましとかなきゃだめだぞ

 いや、そういうんじゃなくて
      奇襲ならもうちょっと静かにしたほうが……
 お前たち、何をしている!

 もう手遅れのようだ 敵に見つかったぞ

 見つかったからには仕方ない 速攻で敵を突き崩さなきゃ

 敵部隊を発見した!

 速攻です みんな突っ込むですぅ!

 ただいま帰りましたっ! 銀の矢おまちっ!

 遅いよ、アンタ!

 いや、めっちゃ早いと思うけど……

 一緒に応援を一人連れてきたんだ 大目に見ておくれよ

 オレの歌を聴けぇッ!(ギュイィイイン

 なんなのよ、このやさ男 戦場なめてんじゃないわよっ

 あわわ、そんなに怒らないでおくれよ

 ともかく間に合ってよかったです 敵をやっつけるですぅ!

 うわわっ

 落ち着いて戦えば大丈夫だよ あこきゅんは後ろに下がってね

 うん ありがとう

 あこきゅんより強くてかわいいフルアーマーじゃすこ登場ですぅ!

 強いのはともかく、その兜でかわいいってのはどうなのよ?

 敵の数がいささか少ないようだけど?

 敵は近くにいた連中だけみたいだ
      結集される前にできるだけ叩かなきゃ
 了解 突撃する

 よっしゃ、いくぜっ

 後衛陣もどんどん攻撃してね

 やらいでか! 任せときな!

 私の魔法を披露しよう 恐れおののけぇ!

 くそう、我々だけでは支えきれない

 敵ながら見事な奇襲攻撃
      このまま戦っては各個撃破されるだけだ 一旦退いて体勢を整えよ
 お前は、深淵の騎士!

 こいつはおっかないなぁ

 いや、うちのカミさんほどじゃない

 アンタっ!

 ここは私が食い止める 皆の者、早く下がれ

 深淵様、御武運を

 深淵さんお久しぶりですぅ お元気だったですぅ?

 じゃすこさん、相手があんなに強そうなのに落ち着いてる すごいや

 あれは落ち着いているというのか?

 ゲフェンを攻めている我等の本隊を避けて
      後方の補給を絶とうとは
      さすがはじゃすこ殿見事な作戦だな
 ほめられたです それほどでもないですぅ♪

 考えたのはじゃすこ大佐じゃないだろ……

 じゃすこ殿、貴殿の強さはよく知っている
      この私がお相手しよう
 深淵さん覚悟ですぅ!

 深淵さんの剣は受けなれてるです
      そんなんじゃ、じゃすこの盾は破れないですぅ
 じゃすこさん、強い かっこいいっ!

 じゃすこ殿、ここで貴殿を倒せるとは思っていない
      我が兵は後退できたようだな 私も下がるとしよう
 簡単に逃がしちゃだめだ みんな、深淵を追撃してっ!

 囲まれてはたまらん 突破しやすいところは……ここだ

 うわあっ

 あっ あこきゅんが! 

 ゆるさないぞー! マグヌスエクソシズム!

 喰らえ、三段掌!!

 ボウリングバッシュ!!

 アコくんはすごい人気だな

 じゃすこのほうがかわいいのにですぅ!
      グランドクロスでじゃすこは輝くですぅ!

 ぬぬぬ、これでは脱出できない!

 あらあら深淵様、逃げ場がなくなってしまいますわよ

 いまのうちにアコくんにリザレクションっと

 復活しました ありがとうございます

 よし、深淵の騎士を包囲した
      みんな、とどめを!
 そうはさせん!(シュバッ

 うわー、またやられたー!

 深淵様、城内の各部隊が異変に気づいて助けに来てくれました

 我等の刀にかけて、深淵殿をお救いするのだ!

 かたじけない これで離脱できる
      全軍後退だ!
 あと一息だったのに、残念

 取り逃がしたのはしょうがないです
      それよりみんな一休みするです
 そんなにゆっくりしててよろしいの?

 そうだ、深淵を追撃するべきではないのか

 いや、追いかけなくても向こうから来てくれるよ
      グラストヘイム城内にいる僕らを看過できるわけないからね
 では守りをかためるとしよう セイフティウォール

 魔法の防壁だ これでいくらかは違うはずだ

 アンタもたまにはやるじゃないの

 たまには、は余計だろ

 これで防御は万全です 深淵さんいつでもこいですぅ!

………………………………………………………………………

 じゃすこちゃんはどうしておるかのう
      頑張って戦ってくれてるじゃろうか
 じゃすこ様、がんばって……(祈

 あんたら、じゃすこじゃすこってうるさいわね
      こっちは各戦線への対応に大忙しだってのに
      プロンテラ騎士団は役に立たないし、どいつもこいつも……
 面目ない……

 大丈夫じゃよ、絶対何とかなるぞい
      きっと勇者が現れて、王国を救ってくれるはずじゃ
 勇者様? 王様、それってどういうお話? 

 かつてこの大陸で争乱が起こった時、
      どこからか現れた勇者が剣をとり戦ったのじゃ
      当時の首都であったグラストヘイムを平定した勇者は
      その地に勇者の剣を突き立て、遷都を行ったと言われておる
 現在の王家はその子孫というわけですな

 どうせ王家の家柄に箔を付けるためのホラ話でしょ
      尾ビレ背ビレってやつよ
 ひどいのぅ、王家に伝わる由緒正しい話じゃのに……

 じゃあその勇者ってのを今すぐ連れてきなさいよ

 むぅ……朕とて何もしておらなんだわけではない
      来るべき聖戦に備えるべく、聖騎士(クルセイダー)を集めておったのじゃ
      しかし、勇者たるべき者は見つかっておらぬ
 じゃすこ様がその勇者なのよ そうだわ、きっとそう

 おぉう それは思いつかなんだ
      じゃすこちゃんがあまりにも可愛すぎるんで
      朕はてっきり天使だとばかり思っておったぞ
 ねぇ王様 勇者だってのはどうやったらわかるの?

 うむ、勇者は十字架の聖痕を背負っていたと伝えられておる
      体のどこかにその印があるはずじゃ
 十字架の印……どっかで見た気がするわね

………………………………………………………………………

 深淵殿のお出ましだ 第2ラウンド、行くぞ!

 もう来たです? 深淵さんはせっかちですぅ

 せっかちで申し訳ないが
      じゃすこ殿がここに居ると前線へ補給物資を送れないのだ
 早く来ても遅く来ても補給物資は送れないです
      なぜなら、じゃすこ隊は無敵だからですぅ
 言わせておけばっ! 我等グラストヘイム騎士団の力を思い知れ!

 戦闘開始だ いくぞー!

 戦闘なんかくだらないゼ オレの歌を聴けぇッ!(ギャイィーン

 なんでこんなときに歌なのよ 馬鹿にしてんのっ!

 いいえ、これは「ブラギの詩」ですわ
      リズムに乗せて、呪文の詠唱が滑らかにできます
 ちっ そういうことならしょうがないね
      力いっぱい歌ってみな!
 言われるまでもねぇ! 銀河の果てまで響かせるゼッ!(ギャギャーン

 先鋒部隊、突撃!

 よし、いくぞっ!

 受けて立つ!

 パンチパンチパーンチ!

 その部隊は陽動だよ 深追いしないで!

 よく気がついた しかし、手遅れだ

 侍部隊の斬り込みだ

 うわー やられたー

 これでは呪文詠唱どころじゃない!

 後衛を狙うとは、武士の風上にも置けない奴等だね!

 お前たちだって奇襲しに来たんだろうが!

 そーいやそうだった これは一本取られたね

 そんなこと言ってる場合か!

 おっと、お前の相手はこっちだ

 ちっ 雑魚どもめ、邪魔をするな!

 これではヒールが追いつきませんわ

 ここが踏ん張りどころです
      相手もそう余裕があるわけじゃない がんばって
 これで邪魔者はいない じゃすこ殿、覚悟していただこう

 深淵さんも覚悟するです じゃすこが相手ですぅ
      正義の一撃を受けるですぅ!(ガキィン
 正義? 正義は我々の方にある
      国王陛下をないがしろにするリンゴの騎士を除く事
      これこそが正義だ!(ビュン
 リンゴの騎士様は何にも悪くないです(バシュ

 何を言う! 国王陛下を差し置いて国事を壟断するなど
      臣下にあるまじき事だ
      国王陛下に実権をお返しするために私は戦っているのだ(ゴンッ
 そんなことしたら王様がかわいそうですぅ(ドカッ

 かわいそうだと? 王者の権利は神に与えられたものだ
      国王陛下の御親政こそが王国の正しいあり方なのだ(ガイィン
 王様は難しい事考えるの向いてないです
      政治とかやっても失敗するだけですぅ(ガコン
 それって、頭が悪いってことかな?

 国王陛下に対し、なんと無礼な言葉!(ガッ

 難しい事は賢いリンゴの騎士様にやってもらって
      ゆっくり老後をおくってもらう方が王様のためですぅ(ギリギリギリ
 不敬、不忠! 国王陛下を何と心得るか!(ギリギリギリ

 ふけいとか、ふちゅうとか、難しくてわかんないこというです
      そんな建前より、王様が笑顔で居てくれるのが大事ですぅ
      そのためにじゃすこは頑張ってるですぅ!(ギリギリギリ
 それは詭弁だ
      王国をあるべき姿に戻すという理想がなぜわからん!(ドガッ
 深淵さんは夢見がちですぅ ちゃんと現実をみるですぅ(ガイィン

 マグヌスエクソシズムっ!

 ぐっ、無念……(ばたっ

 侍部隊は撃退したよ すぐじゃすこちゃんに援護を!

 これはまずい ええい、ハイヨー!

 ヒヒーン!

ドカーン!

 ぐふぅっ……ですぅ! お馬さんの体当たりですぅ〜

 我等の闘い、他の者に邪魔されたくはないからな

 あれ、武器とか兜とかどっかいったです 落したですぅ?

 その武器というのはこれか

 それはじゃすこの剣です 返すですぅ!

 ヒヒーン(蹴り

 あー、お馬さんに蹴られてどっかいったですぅ
      悪いお馬さんはちゃんとしつけないとダメダメですぅ
 ご指摘感謝する しかし、我らは人馬一体だ

 むーです 武器がないなら仕方ないです
      必殺じゃすこぱーんちですぅ!(ポコン
 ……じゃすこ殿、素手で私を傷つけることはできない
      おとなしく覚悟なされよ
 じゃすこは無敵です ぜったい負けないですぅ!
      必殺じゃすこヘッドバッドですぅ!(ドゴォッ
 ブヒヒィーンッ!!!(鼻強打

 ぬおお、暴れるな 落ち着くのだ!

 じゃすこが硬いのは鎧だけじゃないですぅ
      さあ、今のうちに剣を探すです どこいったですぅ

 あーいいところに剣が刺さってるです これ使うです

 その剣は一千年前の大戦で王が使った剣だ
      王者となる者しか抜く事はできない 使おうとしても無駄だ!
 じゃすこは人望があるから大丈夫ですぅ そおれですぅ〜!

 ほら抜けたですぅ♪ なんか光っててあったかい剣ですぅ

 王者となる者しか抜けないはずの剣を……
      御身は王の再来であったか
 深淵さんどうかしたですぅ? 闘わないですぅ?

 じゃすこ殿…… いや、じゃすこ様
      数々の非礼をお許し下さい
      この深淵、じゃすこ様に降伏いたします
 いきなり降伏するですぅ? なんでですぅ?

 その剣を抜ける御方は新しい時代を切り開く
      王者の資質の持ち主なのです
      私は王に向ける剣を持ってはおりません
 んー、じゃすこが王ですぅ?
      じゃすこの名前はじゃすこです 王様って名前の人はお城にいるですぅ
 ……じゃすこ様 王というのは人名ではありませんぞ

 そうなのですぅ? じゃあ王様は名無しのゴンベですぅ

 ……

 

 深淵さんは降伏したですぅ

 こっちも皆降伏だって
      これでグラストヘイム制圧だねー
 じゃすこ隊の大勝利ですぅ
      みんなじゃすこを称えるといいですぅ♪
 あこきゅん万歳!

 あこきゅん万歳!!

 あこきゅんばんざーい!!!

 え、あの、僕はなにも……

 ぼんごんまであこきゅん派ですぅ もう知らないですぅ!

……………………………………………………………………

 なにっ! グラストヘイムが陥落しただと!?

 はっ、敵じゃすこ隊の奇襲を受けた模様
      留守居の深淵の騎士殿は奮闘したものの敗れ、捕らえられたとの事です
 ぬぬぬ、なんという事だ
      グラストヘイムを失っては持久戦どころではないではないか!
 じゃすこ隊が我等ゲフェン攻撃隊の背後を突くおそれもあります
      そうなれば我々は挟み撃ちを受ける格好です
 やむをえん、ゲフェンは諦める
      南へ逃れるぞ サンダルマン要塞へ行くのだ
 はっ、かしこまりました

 

 敵が、退いていく どうして?

 ……わからんが、俺たちの粘り勝ちということ、か?

 ゲフェンは、解放されたのですね よかった
      しかし、まだ何か胸騒ぎがします 何でしょう……


ではまた

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