ラグナ記

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175回目「我等無敵のソロ軍団」


 ルーンミッドガッツ王国は現在アルベルタを占領され
      ゲフェンはグラストヘイム騎士団により包囲中
      敵主力のプロンテラ騎士団は各地に分散し結集できておりません
      アルデバランに残った兵力はソロ軍団のみ 増援はありません
 そうか、今こそアルデバランを奪い返すチャンスだな
      各地の反王国組織に支援をしてやった甲斐があった
 自腹切ったような言い方をするな
      その金はもともと国民の税金だろう
 本来なら戦争より産業支援にまわしてもらいたいところですわ

 対ルーンミッドガッツ強攻策を唱えて大統領選に勝ったのだ
      この機会を逃せば国民になんと言われるかわからん
 「つよいシュバルツバルト」って奴だな 耳にタコだ

 愚民どもを操るのも大変ですわね
      しかし、私たちレッケンベル社が
      その大統領選の費用を出した事を忘れてもらっては困りますわ
 わかっている その分、今作成している公害規制法を
      骨抜きにしてやってるんだ グダグダ言うな
 そんな法律はじめから作らなければいいんだ

 そういうわけにもいかん アインブロック市の公害には
      市民の批判が集まっているからな
 ちっ しょうがねぇな
      市民の目を上手く逸らすようせいぜいがんばってくれ
 まかせておけ それより今はアルデバランだ
      王国の野蛮人どもを我等シュバルツバルト共和国から追い出すのだ
 王国を黙らせることは我が社の利益にもなりますわね

 王国のリンゴの騎士ってのが我がレッケンベル社の事業にまで
      ちょっかいをかけてきやがるからな
 しかし、精強な王国軍を相手に、我が軍は大丈夫でしょうか

 何を弱気になっておる
      この日のために国防予算を増枠して兵をかき集めたのだ
      今や我が軍の兵力は王国の全軍よりも多いのだぞ
 各地の勢力と連絡も取り合っている
      今回の軍事行動にあたっては、敵が出撃したのを見計らって
       オウル公爵がアルデバランで挙兵する手はずになっている
 共和国軍とオウル公爵とで敵を挟み撃ちにできるな

 敵はわずか一部隊、ソロ軍団だけです
      ここまでして負けるはずが無いですわ
 さあ、遠征軍を編成せよ アルデバランを奪回するのだ!

 そんなに簡単に勝てるものでしょうか……

 

 伝令!

 にゃっす ソロ2号、どうかしたか?

 でしこ軍団長閣下に申し上げます
      シュバルツバルト共和国が同盟を破棄し、我が王国に宣戦を布告
      このアルデバランへ向けて進軍を開始した模様です!
 んー もっとわかりやすく言って

 共和国が攻めてくるって事ですよ!

 なんだってー! それで、敵軍の兵力は?

 我等ソロ軍団の10倍以上!

 なんだってー! それで、我々に援軍は来ないのか?

 現在王国領の各地で叛乱軍、外国軍との戦闘が発生しており
      また、最高指揮官たるリンゴの騎士殿も行方不明
      本国には援軍を出す余裕など到底ないとの事
 なんだってー!

 お師匠さまは益体なしー あてにしたってしょうがねーな
      ヒャッハー ソロ軍団、全軍出撃いくぜー!
 なんだってー! 全軍出撃ってことは……

 アルデバランの守備は?

 そんなもんいるかー 全軍ってのは全部の軍だ
      出撃出撃ヒザマヅケー!

 

 よし、今夜はここで休む事にしよう
      宿営の準備をしてくれ
 このような寒々しい場所に駐屯するのですか?

 そうだが、それがどうかしたか

 町からも遠く離れた劣悪な環境で待機させるなんて
      我々兵士の権利を侵害している!
 我々全シュバルツ兵役従事者連合組合は
      全ての兵士のために、待遇改善を要求します
 受け入れられない場合は、裁判所に訴える
      我等の権利を守るために戦うぞ!
 ……こりゃ困ったな 裁判となると大変な時間がかかる
      しかし、敵は目の前だ なんとかここに布陣してはもらないだろうか
 従来の兵役に関する諸手当に加えて
      新たに危険地駐屯手当を設けていただきたい
 そうすれば我等連合組合も対応を考える用意がある

 わかった ただし、私の独断では決定できないので
      ジュノーの指令本部に上申し、結果を待つことにする
 早急な回答をお待ちしている
      結果が出るまで、我々は進軍を取りやめ待つことにする
 なんと、それでは部隊を前に進められないではないか

 兵士の権利を守るためにやむを得ない措置です ご理解ください
      では、良い結果をお待ちしています
 ……

 

 でしこ様、我が軍は敵軍とまもなく接触いたします

 ヒャッハー 中央一点突破だ いくぜー!

 伝令!

 にゃっす ソロ2号、今度はなんだー?

 アルデバランにてオウル公爵が挙兵
      時計塔が占拠された模様です
 なんだってー! 今アルデバランには一人の守備兵もいないというのに

 兵をアルデバランに戻さねば、我等ソロ軍団は拠点を失います

 戻るなんてめんどくせー 目の前の敵に突撃するぜー!

 なんだってー! 今アルデバランを失ってしまえば
      我等は王国からの連絡も途絶え、完全に孤立してしまいますぞ
      補給もなしにどうするおつもりですか!?
 いや…… まて、考えてみろ 我等の軍団名はなんだ?

 ん? ソロ軍団だ それがどうかしたか?

 そうだ、ソロ軍団だ 我等はソロの軍団なんだ
      思い出してみろ ソロ軍団に入る前のことを
 ソロ軍団に入る前…… オレはソロの剣士だったな
      来る日も来る日も、一人で黙々と狩をしていたあの日々の事か
 そうだ 思い出すんだ

 支援はおろか、辻ヒールすらもらえない
      それでも、荷物の中の牛乳だけを頼りに、狩り続けた
 ギルドに入ってる奴等はいつも溜まり場に集まっているのに
      俺たちソロにはそんな場所もなかった
      そんな毎日でも、我等は闘いつづけていた そうだろ!
 そうかっ! 我等はソロ軍団 支援も要らない 拠点も要らない
      クリスマスの夜でも恋人など要らない!
 いや、それはちょっと欲しいけど……
      とにかくそういう事だ
      何があろうと前に進む 我等はソロ軍団だ


 我等無敵のソロ軍団!

 ヒャッハー ソロ軍団は無敵だぜー
      それじゃ全軍突撃 いくぜー!


 おーっ!

 

 なんなんだ 敵軍のあの勢いは?
      数に勝る我々共和国軍が押されまくっているぞ
 奴等の拠点アルデバランは別働隊がすでに落としています
      すでに敵は補給も途絶えているはずです
 では何故あんなにも士気盛んなのだ 訳がわからんぞ!?

 我等無敵のソロ軍団! 我等無敵のソロ軍団!!

 うわっ 敵がこっちに来た

 敵は念仏のように何かを唱えています

 恐ろしい……

 怯むな、迎え撃て!

 我等無敵のソロ軍団! 我等無敵のソロ軍団!!

 無理だ 支えきれない! こんな狂った奴等、相手にできるか!

 私は金で雇われたから来ただけなんです だから助けてください

 俺だって金のために命まで捨てたくはない 助けてくれー

 バカモノ、逃げる奴があるか!
      戦え、戦わんか!
 お前が隊長か、ヒザマヅケーッ!

 う、うわぁああ!

 我等無敵のソロ軍団!

 ヒャッハー 圧倒的じゃないか我が軍はー!

 

 アルデバラン遠征軍はソロ軍団と交戦し壊滅!
      ソロ軍団は余勢を駆って首都ジュノーに攻撃を開始しました
 バカな……

 おいおい、どうなってんだ
      負けちまったら元も子もないだろう
 圧倒的な兵力差があったんだ 何故こんなことになる!?

 幾ら数が多くても寄せ集めではどうにもなりません

 ええい! なんとしても首都を守れ 死守するんだ!

 資金ならいくらでもレッケンベル社が用意しますわ
      だからなんとかしなさい!
 敵ソロ軍団 市街地に突入しました
      この大統領府ももう危ない!

 ……もう、どうにもなりません

 せっかく手に入れた大統領の地位もこれまでか 脱出するぞ

 役立たずめ、貴様なんぞを支援したワシらが馬鹿だった

 ヒャッハー 親分はここかー!

 我等無敵のソロ軍団!!

 我等無敵のソロ軍団!

 うわっ、もう突破されたのか!

 お前が親分かー! 共和国を代表してアタシにヒザマヅケー!

 ひ、跪くから、命だけは助けてくれー

 我が国もこれでおしまいか……


 我等無敵のソロ軍団! えいえいおーっ!!

 

………………………………………………………………………

 ………遅かったな、亀忍者

 はっ(シュタッ

 して、報告は?

 シュバルツバルト共和国軍は
      足並みが揃わないままソロ軍団と交戦し敗退
      首都ジュノーの大統領府が陥落し、降伏しました
 ふんっ、使えぬ…
      カガクヘイキとかいう玩具もこの程度か
 ゲフェンを攻めていたグラストヘイム軍は補給線を絶たれ
      南方へ転進いたしました
 騎士団の集結をわざわざ遅らせていたのに
      じゃすこ大佐の仕業か、やりおるわ
      まぁいい、王国軍の抵抗は予測の範疇だ
      我らは予定通りアルデバラン時計塔を利用し、次の作戦に移行する
 御意

 ところで、リンゴ騎士の始末はついたか?

 はっ、これを…

 クククッ 確かにこれは奴めの矢リンゴ

 はっ、のこのこと亀島にやって来た隙を突いて斬り捨て
      死体は海に棄てました 今頃は魚の餌です
 よくやった これで邪魔者はいなくなったな
      よし、亀忍者よ、お前は引き続き情報収集を継続せよ
 御意

 リンゴの騎士め あの世で悔しがるがいい
      フハハハハハ、ハーッハッハハッハ!

ではまた

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