ラグナ記

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194回目「3分でわかる魔法学」


 ほな、170万zで決まりっちゅーことで。まいどおおきに

 アルベルタ一の大店、この辰五郎商会から
      半値近こぉまで値切るとは、大したもんや
 まぁ、そう言わんといてや
      街と店を盗賊団から護ったんやから、結果的に安いもんやで
 ま、請け負ったからには、ちゃんと船は出しまっせ
      人数は4人やな。旅支度しといてや〜

…………………………………………………………………

 先輩、無事で良かったです
      だぶりゅは心配で、心配で・・・
 大丈夫よ あなたもちゃんとお客様を誘導して偉かったわ

 はいっ だぶりゅは頑張りました!

 あなたの胸には、お客様に尽くすカプラの心構えがある
      もうあたしが居なくても大丈夫ね
 えっ・・・先輩、行っちゃうの?

 あたしには大事な旅があるから、行かなくてはならないの
      これからも冒険者を助けてあげてね
 うぅ・・・先輩〜

 違うでしょ、ほら涙を拭いて、カプラはいつも笑顔よ

 は、はい(ごしごし)
      行ってらっしゃいませ、先輩!!
 うん行ってきます、またね(退場



 先輩・・・だぶりゅは、だぶりゅは
      きっと一人前のカプラになってみせます
 おーい

 あれはテーリング先輩!

 だぶりゅちゃん、大丈夫!?
      アルベルタの港が襲われたって聞いて、急いで首都から戻ったのよ
 テーリング先輩、お帰りなさいませ♪
      街は大丈夫です、お客様にも怪我はありません(キラーン
 お『お帰りなさいませ』??
      ・・・ねぇ、あなたホントにだぶりゅなの
      この自信あふれる所作、一体何があったのかしら
 ふふん、『女子、三日会わざれば刮目して見よ』なのですよー

…………………………………………………………………



 それでは出港しまーす

 これでようやくコンロンへ行けるのね
      今度こそ、未来へ帰る方法を見つけないと
 おうめさん 今からそんなに緊張していては疲れますわよ
      こちらでわたくしとお茶など如何かしら
 あ、はい いただきます





 それにしても、あんな大魔法を使えるなんて素晴らしいですわ
      是非、その力を研究させて頂きたいの
      わたくし、ゲフェン塔で魔法の教鞭を執っているものですから
 『大魔法』って、幻想矢の事ですか
      あれは、見様見真似で練習しているうちに出来た技で、
      自分でもうまく説明はできません・・・
      魔力をぶつけるイメージが『矢』になったんです
 なるほど、無意識レベルで魔力の物質変換を行っているのね
      あなたの言う未来では、皆その能力が使えるのかしら?
 いいえ、あたしが知っているのは一人だけです
      でも一回見ただけだし、詳しい事はわかりません
 魔法使用時に、補助アイテムは使っている?

 いいえ、あたし何も無い街でモンスターと戦っていたから
      自分の魔力だけで『矢』を作らなきゃいけなかったんです
 あと数年の内に魔法理論に革命が起こるとも思えない。
      特殊な環境下で研鑽を積んだ、ほぼオリジナルの魔法・・・
      なんて面白いのかしら
      わたくしの予想通り真性のレアスキルですわ!
 研究熱心だなマリアよ、何かわかったのか

 わたくしはゲフェン塔の教授ですわよ
      既に大方の分析は終えていますわ
 ほう。では目的地までの退屈しのぎに、
      教授殿の見解を聞こうではないか
 まず、魔力というの単体では存在させにくいものですわ
      武器や肉体・アイテムに宿らせるか、
      魔法現象として発生させなければ霧散してしまう
 ふーむ。だがファイヤーボルトやコールドボルトとは
      何が違うのだ? 同じ攻撃魔法だろう
 これだから素人は困りますわ。
      ファイヤーボルトやコールドボルトは、
      魔力で発生させた炎や氷を放つ魔法です。
      つまり、攻撃時には魔力から熱現象に【変換】を行っているのです
 ややこしいな

 そんなこと、意識してなかったわ



 では、図を見ながら説明いたしましょう
      生徒の皆さん、はい注目〜
 そのプレート、どこから出した?

 この世界の魔法体系は、このように考えられています
      魔力を【変換】して、様々な現象を発生させる
      その程度によって、魔法のランクが分かれているの
      魔力【変換】を容易に行える者こそ、
      マジシャンやウィザードと呼ばれているのですわ
 勉強になります

 魔力は単に魔法だけに使われるものではありません
      肉体強化や、武器強化に用いる者もいます
 私が得意とするマグナムブレイクはどう分類されるのか



 マグナムブレイクは、剣や拳に付与した魔力を
      エネルギーとして爆発させる技ですから
      『魔力固定』と『放出』の流れに分類されますわ
      魔力を用いて影響を起こす点で低級魔法に近いですが、
      高位魔法のような大きな現象にはなりません
 念属性のソウルストライクや、聖職者の回復魔法はどうなる



 精霊や聖体の力を借りるのは『召還魔法』に属しますが、
      魔力を元に『現象』に【変換】していると見なせるので、
      この図では低級魔法の一種に相当すると思って良いですわ
 この図では、右へ行くほど魔力が魔法に【変換】されているな

 『幻想矢』の作り方は、エンチャントの一種だと思います
      おうめさん、あなた武器に魔力付加はできるかしら?
 はい、矢に流し込んだことがあります
      でも威力不足だったから、魔力をそのまま矢にしようと考えて・・
 やはり思った通りですわ
      武器を媒体として魔力を宿らせるのが『魔力固定(エンチャント)』
      その媒体無しに『魔力固定』したのが、幻想矢なのです。



 なるほど、武器いらずとは便利だな
      しかし使っている者など見たことがないぞ。なぜ普及しない?
 理屈の上では『魔力を固定する』だけです。
      ですがその具現化には、優れたイメージコントロールが必要なのです
      おうめさんは、その魔力制御能力が飛び抜けています
 そんな大したことは
 魔法研究の権威であるお前にも出来るんじゃないのか?
 も、もちろん、わたくしも入念な準備をすれば可能ですわ!
      それでも、使わない理由は三つあります。
      一つ、魔力制御に集中しなければならないので使いづらい。
      二つ、高位魔法に『変換』した方が、より簡単に結果を得られる
 面倒な『物質化』をせずとも、用が足るという事だな

 普通ならそうですわね。
      おうめさん、あなた他の魔法は使えるかしら?
 えぇと、クリップがあればヒールとマグナムブレイクは使えます
      他の難しいものは分かりません
 つまり、彼女は魔力を【変換】する能力はそれほど高くない
      一方で、純粋な魔力を制御し『固定』『放出』する能力に優れている
 それだけなら並の魔法使いでも出来そうだが、
      どうやら三つ目の理由が重要か
 その通り。
      三つ、魔力を物質化させる程の濃度に固めるためには、
      莫大な魔力源が無ければならない。
 んー、つまり『幻想矢』は燃費が悪いということか?

 1本ぐらいなら大した事はありませんが、
      おうめさんのように複数の矢を同時に操る場合、
      必要な魔力は、高位魔法の何発分になるやら・・・
 SP回復アイテムをたくさん使っているのだろう

 あれほどの魔力を賄うだけのアイテムを持っていたら、
      おうめさんがお金に困ると思いますか?
 なるほど、道理ではある

 「彼女の肉体から莫大な魔力が生成されている」というのが
      わたくしの結論ですが、その原因は解りません。
      だから、研究したいのですわ〜(すりすり
 あの、ほっぺたすりすりしないで・・・







 ふんっ! はっ! とうっ!!

 ライオン仮面さんはトレーニング?

 あぁそうだ。私は大した魔法なんて、使えないからな
      船の上で、身体が鈍らないようにしているんだ
      お前も戦士タイプなんだから、怠けるんじゃないぞ
 う、うん
      あの、お礼を言うのがまだだったわ
      街では助けてくれて、ありがとう
 ふん、ゴブリンなんかに負けてもらっちゃ困る
      それだけだ
 どうして何も言わず、この船旅に同行してくれたの?

 お前に付いていけば、面白い事がありそうだからな
      この世界には、まだまだ強い奴がゴロゴロしてるらしい
 あたしも世界を旅するの好きよ
      この旅は先行き不明だけど、どこかワクワクしている
 フッ、気楽なやつだな

 うふふ。ところで、その仮面なんだけど・・・

 仮面の事は聞くな!

 え?

 ちょっとワケありでな・・・私はお役人が苦手なんだ
      あの二人には、お前の知り合いだと説明してくれると助かる
 わかったわ、そういう事にしておく







 潮風が気持ちいいですわ〜
      たまにはゲフェン塔を出て、旅も良いですわね
 同意だな、美女が一緒というのも嬉しい

 まぁ、お上手ね

 どうかな今夜、私の船室で・・・

 うふふ、ダメですわよ
      こんな船の上じゃあ、揺れ揺れで酔ってしまいます
 わたしはお前に酔うなら構わない

 騎士殿は冗談ばかりね
      近頃は、マジシャンの女の子にお熱だという噂ですけれど
 うっ、何の事かな ハハハ・・・







 コンロンが見えたぞ

 あそこに、未来へ戻る手掛かりが・・・

 高次元存在・・・真理の解明・・・うふふ

 では行くぞ



ではまた

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