ラグナ記 

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201回目「プロンテラ強襲」





 あらごきげんよう、珍しいお客さんがいらしたわね。
      あいにくゲフェン防衛戦が終わったばかりで、
      お茶を出す余裕もありませんの
 ・・・

 挨拶も返さないなんて失礼なこと。
      でもまあ貴女がここを訪ねてくるなんて余程の事でしょう。
      一体何の御用かしら?
 えぇと・・・・・・

 ねえ、わたくしも暇ではありませんし
      言いたい事があるなら早く言って頂かないと困りますわ
 ・・・パパが、死んだわ

 まぁ・・・

 騎士団長代理ギルガメッシュ。
      この男の罠にかかって、亀島で倒れたそうよ。
      話はそれだけ、一応アンタにも伝えとかないとね。
 そう・・・。騎士殿ったら
      故郷のピンチに駆けつけもしないもんだからおかしいと思っていましたが、
      そんなことになってたんですのね
 アンタ、何をのん気きな・・・。

 別にのん気に構えてるつもりはありませんわよ。
      昔、そんな話を聞きました。どうして今まで忘れていたのかしら?
      確か時空の門を開いて、騎士殿を未来へ送ったんだったかしら。
 ついさっき私も見たわ。驚いたけれど本当の事なのよね。
      一応、お礼は言っておくわ。ありがと
 別に、あなたを助けたつもりはありませんわ。
      あれは勝手に、騎士殿が飛び込んで行っただけなのですから。
 おかげで、アンタが犬の姿をしている理由も、
      パパが世界各地の珍しいアイテムを探していた理由も、全部わかったわ。
      アンタを元に戻すために・・・。
 わたくしのことは気にしなくて良いと言いましたのに。
      騎士殿は、本当に律儀なお方ですわ。
 結局、パパが本当に大事だったのはアンタなんじゃないの。

 うふふ、そうかもね。だったらどうだというのかしら?

 どうだっていいわ、もうおしまいよ・・・
      だってパパはもう居ないんだから! 死んだんだから!
      うぅっ、うわあああああん
 ・・・がぶっ

 痛いっ!

 うるさいですわよ
      泣き喚きたいなら他所でやってくださいな
 なによ、アンタ何とも思わないの!? 悲しくないの!? パパが死んだのよ!

 それを貴女は、ちゃんと見たのですか? 確かめたのですか?

 そ、それは見ていないけれど
      だってギルガメッシュが矢リンゴを持っていたし・・・
 それが理由のすべて? ほほほ、貴女にはがっかりね。
      まったく論理的ではありませんわ。
      そんなもの、状況証拠に過ぎないでしょうに
 だったら、どうしてパパは居ないのよ、助けに来ないのよ!

 騎士殿のお考えあってのことなのでしょう。
      例えば、内部の敵を炙り出す為の作戦ではないかしら?
      敵を欺くにはまず味方からと言いますし。
 馬ッ鹿じゃないの、一体なんの証拠があって・・・

 わたくしは誰よりも騎士殿を信じている。ただそれだけですわ。

 ア、アンタの方がよっぽど非論理的じゃないの!
      そんなことじゃ・・・
 貴女は騎士殿を信じられないというの?
      なら、どこの馬の骨とも知れないギルガメッシュの言葉を
      いつまでもありがたく信じていれば良いのですわ。
      「ギルガメッシュ様、教えて下さってありがと〜♪」ってね
 くっ・・・

 さて、わたくしは出かけますわよ。

 ちょっと、どこに行こうって言うのよ

 騎士殿を探しに行くに決まっていてよ。

 !?

 そのギルガメッシュとかいうのを捕まえて
      生爪を剥がし、焼きゴテをあて、拷問の限りを尽くして
      騎士殿の居場所を吐かせます。
      どう、ステキでしょ?
 アンタ、恐ろしい事をさらっと言うわね

 貴女はここでゆっくりと、くつろいでいらしてね。
      びーびーうるさい泣き虫小娘なんて、足手まといですから。
 ムカッ……待ちなさいよ、一緒に行くに決まってるでしょ!
      私だってパパを信じてる! 一番信じてるんだからね!!
 (それでこそ、わたくしのライバルですわ)

・・・



 じゃすこ強いですぅ〜、無敵ですぅ〜
      もうすぐ首都プロンテラに到着ですぅ〜♪
 途中のゲフェンも無事で良かったね

 遷都後の首都へ来るのは初めてだ

 深淵さんは、首都に着いたら地下牢に入ってもらいます

 この深淵、如何様な処罰も受け入れる覚悟
      元よりこの身体は御身のためのもの―――
 深淵さんは、難しい話ばかりですぅ
      そういうの、じゃすこは良くわからないですぅ
 今回、反乱を扇動した首謀者が何名かいるようだよ

 ネプチューン殿に騙されていたとは・・・面目ない

 事件の全容解明に協力してもらえれば、
      投降した深淵さんは減刑されるんじゃないかな
 じゃすこからも王様に頼んであげるです
      王様は優しいですから、
      きっとじゃすこのお願い聞いてくれるですぅ
 じゃすこ大佐、伝令でございます。

 伝令ですぅ? なんか用事ですぅ?

 国王陛下より全軍を預かられたケイナ様からのご命令です。
      これより王国全軍はコモド救援のため出撃する。
      じゃすこ大佐は直ちに進路を変え、
      本体に合流せよとの事です。
 なんかよくわからないけど偉そうです。
      じゃすこはケイナさんの部下じゃないですぅ。
      じゃすこに命令していいのは王様とリンゴの騎士様だけです!
 いやしかし、ただいま国軍の指揮権は
      ケイナ様に委譲されておりますので・・・
 じゃすこちゃん落ち着いて。
      ケイナさんは王様の代わりに総大将になってるんだって。
      王様の代わりだから命令も
      王様が言ったのと同じ効果があるんだよ。
 王様が言ったのと同じですぅ?
      じゃあしょうがないです。じゃすこ隊は南へ向かうですぅ!
 あ、捕虜の護送はこちらで引き継ぎます。
      深淵殿の馬車はこちらへ引き渡してください。
 それは助かるですぅ。
      深淵さんはなんか難しいことばっかり言うから
      いないほうがいいです。
 じゃすこ王、なんとご無体なお言葉・・・



 さあ、深淵殿。首都はもうすぐです。休まず進みましょう

 プロンテラ・・・ ここに戻るのは久しぶりだ
      まさか囚人として戻る事になるとはな
 いやいや、高名な騎士である貴公は
      もっと勇ましく首都に戻るべきだな



 な、何ヤツ! はっ、いつの間にか囲まれている!?

 警護が随分と薄いな。じゃすことやらの部隊はどうしたのだ?

 答えられるはずがないだろう!

 いまの状況をわかって言っているのか?
      命がいらないものと見える
 くっ・・・
      じゃすこ大佐は王国軍総動員の命を受け南に転進された。
 そうかそうか、それで深淵の警護にまで兵力が割けないのだな。
      おかげで仕事がやりやすくて助かる。 
      深淵殿、このネプチューンと共に来てもらおう
 ネプチューン殿か・・・
      生憎だが私はもうこれ以上戦うことはできない
      真の王者と出会ったしまったからな
 真の王者? それは私のことか。
      まもなく私が王国の支配者となるのだからな
      貴公には否が応でも付き合ってもらうぞ。
      術士殿、出番だぞ。
 フフフ、お任せあれ 
      アナタはだんだん眠くな〜る
 催眠術だと? そんな子供だましで・・・この、私が・・・・・・

 ま、待てっ

 雑兵め、出しゃばるな。

 ぐふっ(昏倒

 思ったより容易く事が運びましたな。

 いやいや、これからが本番だぞ。

 ・・・・・・



 ここのところ兵士がずっとウロウロしてたのに
      今日はやけに静かだな
 お前、知らないのか
      王国の全部隊は今反乱軍退治に出撃してるんだぜ
      この間、聖騎士のケイナ様が全軍率いて出て行ったろう。
 そうなのか
      じゃあ、いま城門の辺りにいるアイツラは何なんだ?
 あれは・・・

 よし、プロンテラはもぬけの殻だ。
      直ちに占領せよ!


 進めー!

 敵襲だー!

 ハハハ、守備隊まで出撃させるとはなんと愚かな
      おかげでプロンテラは私のものだ 行け、深淵よ!
 カシコマリマシタ

 うわー やめろ、やめてくれー

 助けてくれ、ぐあぁ!

 ハッハッハ 大勝利だ
      このまま王城を制圧してしまえ!

・・・

 やっとついたでプロンテラ〜って、大変なことになっとるでぇ

 これはひどい・・・
      全軍出撃中に攻撃されたみたいやな
 なんとしたことか 守備兵すら残していなかったとは・・・
      ケイナめ、あいつがこれほど無能だとは思わなかった
 そんなこと言っとってもしゃあないで
      この状況、どないするつもりや
 敵部隊は王城の門に攻撃してるみたいやでぇ
      あれが突破されたらおしまいやぁ〜
 フン、やむをえん。王城に向かうぞ

 王城って、敵部隊がたかっとるでぇ
      あんな危ないとこ、どないして突破するんやぁ?
      そんなん無理やで危ないでぇ ウチ行きたない〜
 あんなとこワシも行きたないわい
      お前ひとりで行ったらええやないか
 ・・・お前ら、薄情だな

 いやいや、誤解すんな
      お前ひとりやったら行く方法、ないことはない
      まあ、ここに乗んなはれ
 おい、カートなんぞに私を座らせて、どうするつもりだ?

 旦さん、まさかあれをやるんか?

 おう、それしかないやろ ほな行くでぇ!

 おいお前ら、カート引っ張って全力疾走って・・・
      待て、やめろ、やめろー!
 おっしゃあ! スピード乗ってきたでぇっ

 おい、後ろからなんか突っ込んでくるぞ!

 何者だ、止まれ 止まれっ!

 そんなん言うたかて、車は急にとまられへーん!

 いくでぇ!

 ダブルカートレボリューショーンっ!(ドカン



 うーわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・

 あー キレイに飛んでったなぁ〜

 見事に城壁を越えてったなぁ
      十中八九壁に激突すると思っとったんやけど
      ま、うまくいってよかったわ
 ・・・貴様らぁ 何をするかぁ!

 あかん、なんかこの人ら怒っとるでぇ

 こんな所に長居は無用や 退散するでぇ!

 待てー!





 て、敵がこの王城の門まで迫っておる
      ケイナは何をしている ケイナはおらんのか!
 そのケイナさんが全軍を率いて出て行ったから
      首都を守る者が誰もいないのよ
 じゃすこちゃんはー

 じゃすこ様も一緒に南に向かってるよ

 なんてことじゃー 朕を守ってくれる人が一人もおらんー

 ちょっとちょっと、落ち着いてよ

 陛下、かくなる上はやむを得ません。
      プロンテラを脱出しましょう 
      幸い北門には敵がいません 今なら脱出できます
 おう、そうか それは名案じゃ 朕は脱出するぞぉ

 ちょっと、それでホントにいいの?

 いいもなにも、ここにいたら死ぬしかないぞぃ

 だめだよぅ 王様なんだから逃げたりしたらぁ

 何を言うか!
      陛下の身にもしものことがあったら王国は滅びるのだぞ。
      ここは一時の恥を忍んでも、生き延びるときだ
 ダメダメダメー!
      あたしは王様と一緒にここでずっと住んでいたいのー!
      あたしは王様のこと大好きなんだからー!!
 どりこちゃん・・・ 朕も好きじゃー!

 おお、新しい王妃の誕生だ・・・って
      今はそれどころじゃありませんよ!
      新しいお妃をお守りするためにも、
      ここは一時退く時ですぞ。
 うむむ、そうじゃな。やはり逃げるしかないのじゃ

 ダメだってばー!

 どりこちゃん、わかっておくれ。
      今は生きることが一番大事なんじゃ。
      朕はどりこちゃんを守りたい。
      だからここは逃げるときなんじゃ。
 王様・・・

 さあ皆の者、荷物をまとめよ。北門から脱出じゃ!

      −待て!−

 何者だ 陛下に対して無礼であるぞ!

 フン、なにが陛下だ そいつは今王位を捨てたではないか



 お前は・・・

 ゲフェンの、赤リンゴ・・・ 今までどこに・・・?

 新しいリンゴは頭のすわりが悪いな まあいい
      トリスタンよ、ただ身の安全のために
      逃亡の決意を固めているなら逃げるがいい
 陛下を呼び捨てにするとはなんたる不忠!

 雑魚は黙っていろ

 ヒィッ!

 首都を捨てるなら、お前はもはや国王ではない
      国王ではないお前など死んだも同然の存在だ
      それで生き延びたところで、
      果たして死ぬより良かったと言えるのか?
 ・・・

 逃亡した国王などというものを、
      簒奪者が見逃してくれるわけがない
      逃亡の先には惨めな死の結末が待っているだけだ
 あたし、王様のそんな姿、見たくはないよぉ・・・

 「王衣は最高の死装束である」
      今はない古い帝国の皇后の言葉だ
      トリスタンよ、
      最後まで国王として立っていたいとは思わんか?
 朕は・・・ 朕は・・・

 陛下、こやつは国家の大事に姿を眩ましていたような男です
      そのような者の言葉に惑わされてはなりませんぞ!
 王様、王様は最後まで王様だよね・・・?

 どりこちゃん・・・ 朕は、ここに、残るぞ!

 なっ!?

 さすが王様! そうでなくっちゃ!

 よく言った ではお前、いや陛下が
      玉座から離れずにすむようにして差し上げよう
      城壁に出るぞ!

・・・

 あぁ、王城から煙が上がっている
      城門はもう破られたのか?
 ルーンミッドガッツ王国ももうおしまいだ・・・

 あれ? 城壁の上に誰か出てきたぞ
      あれは・・・国王陛下とリンゴの騎士様だ!
 我の声の届かんとする者達よ!



 なんだなんだ? 演説でもするのか?

 世界の首都プロンテラはここにあり!
      国王陛下もここにおられる!
 朕はここに、ここにあるぞー!

 プロンテラ市民よ 王都は略奪者の攻撃を受けているが
      永遠の都プロンテラは滅びない
      王国の旗の下に集え!
      
栄光のルーンミッドガッツのために!
 騎士様は俺達にも戦えっていうのか?

 そりゃ町を破壊したあいつらには腹が立つけど、
      勝ち目がないんじゃ・・・
 リンゴの騎士め、生きていたとはな
      兵どもよ、アイツを射るのだ!
 ネプチューンよ
      矢など放たなくともこちらから出向いてやる
      陛下を守る騎士として、王国の勝利を皆にご覧入れよう
      とうっ!



 うわっ 騎士様が城壁から飛び降りたぞ!

 矢リンゴのままだなんて、そんな装備で大丈夫かっ?

 大丈夫だ、問題ない!



 馬鹿な 飛び降りたのは我が軍のど真ん中だぞ!?

 手柄を立てるチャンスだ かかれー!

 雑魚がいくらかかろうとも!
      イグニッションブレイク!



 ぐわー

 一発で最前線が壊滅した! なんて威力なんだ。

 怯むな、敵は一人だぞ。

 うおー、突撃ー!

 クックック、愚かな奴らよ。それっ!

 うわっ、氷付けにされた、動けん!

 なっ、隕石だと! だめだ、持ちこたえられない。

 フロストダイバにメテオストライク!?
      なぜそんなものが!
 あの剣、蒼紅の宝剣バイオレットフィアーでしょうか。
      そんなものまで持ち出してくるとは・・・
      あの騎士を倒すのは容易ではありませんぞ。
 そんな事言われなくてもわかっとる!
      魔獣だ、魔獣キメラを出せ!
 グギャアアアアァァ!

 スパイラルピアース!

 ギャアアアアアアアアァ!

 うーん、いともあっさりと・・・

 次に死にたいやつはどいつだ?(青ポのみながら

 ヤツは化け物か・・・?


・・・



 首都に着きましたが、なんだか騒がしいですわ

 これは、戦闘の音! 首都が戦場になるなんて。

 わたくし達はどうすれば良いのでしょう!?

 アリスちゃんは、ここに隠れているッス。

 でも、深淵様を探さないと・・・

 リンリンは、王国を守るロードナイト。街を守らなきゃ!

 ま、待って

・・・


 どうした、このリンゴの騎士に挑む者はいないのか!

 すごい、たった一人ですごい勢いだ

 これ、もしかして勝てるんじゃないか?

 ・・・騎士のヤツ、なかなかやるやないか。

 んー、派手にやっとるけど、一人やしなぁ
      いつまでも続かへんのとちゃうんかぁ?
 まあ、あいつも一人で勝とうとまでは思ってへんやろ。
      そろそろ助け舟を出したるべきやな。
 助け舟ぇ? そんなんどないするんやぁ?

 その辺で様子眺めしてる連中が居るやろ。
      あいつら、誰かが突っ込んだら後からついてきよるで。
      「リンゴの騎士に続け」とか叫んだったらええんや。
 なるほどなぁ。さすが旦さん、あたまええなぁ〜。

 よっしゃ、ほな行くでぇ。
      リンゴの騎士に・・・
 リンゴの騎士殿に続くッス!
      首都プロンテラをみんなで守るッス!
 あー、なんかあっちに先越されたみたいやぁ。
      旦さんドンくさいなぁ〜。
 お前にドン臭いなんて言われたないわ!
      要は結果が同じやったら過程はどうでもええ。
      ほれ、あいつらを見てみぃ。
 おい、プロンテラをみんなで守るとか言ってるけど
      どうする・・・?
 ・・・オレ、行くぞ! 騎士様と一緒に戦うんだ

 待ってくれ、オレも行く!

 よっしゃ、いい感じになってきたでぇ。。
      ほならワシらも突撃や、行くでぇ!
 あー、ウチらも行くんかぁ?

 当たり前や! ほら、早よせんかい! つっこめー!



 うおー!

 市民が我々に襲い掛かってきました!

 なんと!

 驚くことはありません。
      奴らはリンゴの騎士の尻馬に乗っているだけです。
 ならばリンゴの騎士が倒れれば市民共は崩れるか。
      よし、深淵よ あのリンゴを叩き潰せ!
 カシコマリマシタ




 フン、深淵か・・・ 貴様と剣を交えるのも久しぶりだな。

 リンゴ、タオス。リンゴ、タオス。

 正気を失っているのか・・・ 深淵も落ちたものだな。

 リンゴ、タオス!(攻撃

 あたりはせんよ。
      自我もない者の太刀筋など、見切るのは容易い。
 ウオオォー!(攻撃

 哀れなものだな・・・
      せめて一思いに楽にしてやろう。行くぞ!
 ダメー!(ばすっ



 おっと、なんだこのメイド。箒で殴りかかってくるな!

 深淵様を倒しちゃダメ、ダメ、ダメー!(ばすばすばすっ

 わわっ、その人は殴っちゃダメッス。
      その人は欲望のままに侵略し支配する地獄の騎士ッス!
      逆らえば命はないッスよー!
 誰が地獄の騎士か。諜報の連中はどいつもこいつも・・・
      おいお前、減給3ヶ月な。
 ひぃい、地獄の騎士は無慈悲ッス!

 ・・・減給6ヶ月にする。

 お慈悲をぉ〜

 ウオォォー!

 止めて、止めてください深淵様!

 どけ、死にたいのか!

 リンゴの騎士様、アリスちゃんを行かせてやって欲しいッス!

 フン、なんだか知らんがワケありか。
      ならば、深淵はお前達に任せた。
      私は親玉を叩くとしよう。
 私はなんとしても、深淵様のお心を元に戻したいのです。
      リンさん、お力をお貸し願えますか?
 任されたッス!
      アリスちゃんの邪魔はさせないッスよー。
      おりゃー!(どごーん

 ぎゃー(カシャンパリン

 止まってくださいませ、深淵様!

 グオォォ・・・

 私の声を聞いてください、お願い!

 グ・・・

 私、深淵様に拾われて幸せでした!
      またお仕えしたいんです、あのお城で!

 ア・・リス・・

 深淵様!

 意識が戻りかけているッス

 ちっ、術の掛かりが浅かったようですね。
      ならば再び強制的に操ってさしあげましょう。
      ほ〜れほれほれ〜(みょん@みょん@みょん@みょん@
 グアアアアア!!

 だめぇ!

 アリスちゃん、近づいちゃ危ないッス!

 負けないで!
      わたしの御義父様はこんな術に操られたりしない!
      お願い、目を覚まして!!

 グオオ・・アリ・・ス・・

 御義父様! 御義父様!

 これだけ強力な術なら術者はすぐ近くに・・・
      居たッス!
 まずい、見つかってしまいましたか!

 逃がさないッスよ!
      オーラブレイド、稲妻斬り!!(ズバッ



 ギャー!

 ・・・私は一体

 正気に戻ったのですね、御義父様。

 アリス、お前なぜここに。暇を出したはずだ

 いいえ、もう御義父様から離れません。
      わたくしがお仕えするご主人様は、ただ一人だけ。
 ぬぅ、しかし私は反逆の大罪人。
      お前を巻き込むわけには・・・。
 どこまでも付き従います。いつだって御側に居ます。
      だって私、御義父様を・・・愛しているんですもの。
 アリス・・・。

 なななんとーっ! 驚愕の新事実ッス!
      リンリンの乙女回路がキュンキュンしちゃう〜〜〜!!

・・・

 なにを手こずっておる!
      あと少しなのだぞ。押せ、押し切れ!
 だめです、深淵殿も動きを止めました。
      どうか後退許可を!
 ここまできて、後退などとっ!

―――どごーん!

 うわー、西門側から魔法攻撃が!

 正規軍もいないのに
      あれほどの魔力を放てる者がいるはずは無い。
      一体何者だ? 
 魔女と犬です! 繰り返します、魔女と犬です!

 なにぃ!?



 だれが魔女ですってぇ、ロードオブバーミリオン!!

 わたくし、犬と呼ばれるのは嫌いですのよ。
      クリムゾンロック!!

 ぎゃああああああ!!

 くそっ、こんなはずでは!

 マリア、行ったわよ!

 呼び捨てとは失礼ね。
      わたくしは貴女より先輩なんですのよ!
      ファイアーウォール!
 アンタとか呼ぶのもかわいそうって思って
      名前で呼んであげたのに生意気なのよ!
      ストームガスト!
 ピキャ!!(ばたっ

 やれやれ、ネプチューンまで参戦していたとはね

 街を見たところ、戦いはもう終わりのようですわ
      賊軍はすでに壊滅状態ね。来るのが遅かったかしら?

 そんな戦力が首都に残っていたかしら?

 ぐぐ・・

 はっ、えんこさん後ろ!

 しまった

 油断したな! 死ね、ドレインライフ…ッ!!

―――ソニックウェーブ!!

 ぐぎゃああ!

 大丈夫でしたか、えんこさん

 いまの声・・・

 無事だったか、えんこちゃん

 パパ・・・パパッ!

 あら騎士殿

 ほんとに生きてた・・・うわあああああん(抱きっ



 私がそう簡単に死ぬものか

 だって、だって・・・

 お久しぶりね

 おう、マリアもいたのか

 いたのかとはご挨拶ですわね。
      せっかくここまで、その泣き虫女を連れてきてあげましたのに
 付き添い感謝する
      えんこちゃんはこう見えて、脆いところがあってなぁ。
      身を隠したまでは良いものの、心配していたのだ
 何よ、心配したのはこっちのほうなんだから(めそめそ

 まったく、今日のところは譲ってさしあげますけれど。
      でも、女を放ってどこかへ行くの、騎士殿の悪い癖ですわ
 いやその、敵を欺くにはまず味方からと言うか・・・
      急な事ですまなかった
 パパのばかぁ・・・(ポカポカ

 いてて、許してくれえんこちゃん

 "貸し"ですわよ

 ああ、マリアには"借り"ばかりだな

 おーい、こっちは片付いたでー

 ギルガメッシュとオウル元公爵には逃げられたけどなー

 ん、商人が来たか

 え、ちょちょちょっと待って(ごしごし

 おやおや、こんな往来のど真ん中で抱きおうて、お熱いなぁ

 目にゴミが入ったから、パパに診てもらってただけよ

 ははっ、そういう事にしとこか〜

 なぁなぁ旦さん、うちも目にゴミが入ったんやけどー

 そうか〜。目薬して風呂入って寝とけよー

 んもう、旦さんのいけずぅ

・・・

 陛下、賊を壊滅させてまいりました。

 うむ、大儀であった。

 王様よかったね、これでずっとここで暮らしていけるね。

 そうじゃな、よかったよかった。

 この騎士、先ほどお約束致しました通り、
      陛下がいつも玉座におわす世が末永く続くよう
      この身を賭して働く所存です。
 そうかそうか。よいぞよいぞ♪

 つきましては南に向かったケイナ殿の軍勢を含め
      王国の兵権すべてをこの私にお預けいただきたい。
 なんと、そのような過ぎたる事を・・・

 よいぞよいぞ

 えっ、よろしいのですか?

 うむ、朕はもう
      どりこちゃんと一緒に暮らせたらあとはどうでもよい。
 ありがたき幸せ。ではあとはすべてお任せあれ クックック

 いいのかなぁ・・・


ではまた


 

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