ラグナ記      

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23回目 支配階級

近頃はあちこちで虐殺されてばかりなので
すっかり忘れてしまっていましたが
私は騎士団より叙任を受けた正規の騎士
名誉ある支配階級の一員なのであります
だから王国と教会のためにその剣を振るって戦ったり
徴税を請け負って下々の者を搾取してまわったりせねばならぬのです
というわけで今回は鉱夫どもの働きぶりを視察するため炭坑に赴くのです

 む、コウモリやネズミが湧いておるではないか

 こちらはトロッコ用の線路が陥没しておる
      こういうものはさっさと修繕せねば作業に差し支えが出るではないか

 なんだこの風の谷のナウシカ(漫画版)に出てきそうな化け物は
      こんなわけのわからんものが徘徊しておっては
      まともに作業もできぬではないか
      鉱夫どもは一体なにをしておるのか!

 この炭坑の採掘量は年々減少しておる
      国王陛下にお納めするべき石炭の量が揃わぬのは
      貴様等鉱夫が怠慢であるが為だ
      貴様等下民はその血の一滴にいたるまで陛下の所有物であり
      陛下の御為に働く、ただその為だけに
      貴様等はこの世で生きることを許されておるのだ
      そんな当たり前の事もわからぬのか 愚民どもめ!

 む、何だ貴様? つるはしなど振り回しよって
      騎士であり陛下の代理人であるこの私に楯突こうというのか
      愚か者め 目にもの見せてくれよう

      陛下に逆らおうなどというものは
      皆我が剣の前に屍を晒すこととなるのだ
      今私の前に倒れておるこやつのようにな
      きさまら下民は何も考えずに、
      ただひたすら働いておればそれでよいのだ
      わはははははははは……………

 

ではまた

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