ラグナ記

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38回目「ザ・PvPU 突撃の歩兵」

 

 これ、歩兵よ

 はい、お師さま なんですか?

 ちと宿屋に行ってまいれ

 はい、お師さま 僕宿屋に行きます

 ふむ、その辺にいるドアマンとかいうのに話し掛けてみろ

 はい、お師さま 僕話し掛けます
      あの……PvPがどうとかいってるんですけど
 ああ、それはPvPに入るための手続き要員だ

 え、ちょっと 僕、PvPなんて行きたくないんですけど

 いいからいって来いって ほらぁ!

 うあーん ひどいよー


というわけでPvPのレベル41〜50に行くハメになった歩兵
ビクビクしながらうろついていると

道の脇に座っていた一人の剣士がゆっくりと立ち上がり
こちらをにらみつけてきました

 まって! ぼ、僕 戦いたくなんて……

歩兵の言葉を「問答無用!」と一蹴した剣士は
歩兵に向かって剣を振り下ろしました

どうやら相手も歩兵と同じVIT型剣士だったようです
高い防御力と遅い攻撃速度のために互いに決定打がありません
回復アイテムが先につきたほうが負けという物量勝負と相成りました
そしていつ果てるともしれぬ長い戦闘の果てに

重量限界ギリギリに持った大量の遺伝子組換人参が
敵の赤ポ回復を上回り、見事歩兵は勝利を掴んでみせました

 うーうー こわかったよぉ……

初戦で勝ちを得たにもかかわらず
こそこそと隅っこへ移動しようとする歩兵に突然氷の柱が向かってきました

まず一人がフロストダイバで歩兵を凍りつかせておいて
もう一人がライトニングボルトで攻撃するという
マジシャン2人組の巧みな連携
ふいを突かれた歩兵はなす術もなく凍りつかされて
強烈な電撃魔法の餌食となりました

しかしながら歩兵は高い体力を誇るVIT剣士なのでありまして
半死半生ながらもなんとか耐え切って逃げ延びます

 魔法なんてひどいよ うあーん

体力回復のため物陰に隠れて休む歩兵
その目の前にさっきのマジシャン二人組が通りかかりました
しかし、こちらには気がついていないのか
他の人に向かって魔法を詠唱しはじめました

 さっきはよくも…… よくもぉ!

根暗で気弱な人間ほど恨み事はねちっこくいつまでも覚えているのです
物陰から不意をついて飛び出した歩兵は
魔法詠唱のため身動きできない一人を一刀のもとに切り伏せ
逃げようとしたもう一人を背中からバッサリ

見事恨みを雪いだのでありました


中央広場に移動した歩兵はその辺にいる人とまったり会話

 ふ〜 やっとゆっくりできるよ〜

しかし、その平和も長くは続かなかったのです

またしてもマジシャン二人組の攻撃
突如出現した炎の壁のために
ちょうど歩兵とじゃれあっていたシーフ氏が火達磨になって討死
歩兵も重傷を負いましたが何とか生き残りました

 せっかくゆっくりしてたのにひどいよ うあーん

体力を回復すべく遺伝子組換人参を食い散らかしながら突進した歩兵

必殺バッシュで一人を叩き殺し、もう一人へ特攻
フロストダイバを受けるも凍りつかずにそのままつっこむ歩兵に
恐れをなした敵マジシャンは一目散に逃亡します

 まてまてまてまてぇ!


普段根暗で気弱なヤツほどなにかとしつこいのが世の常
中央広場を出て街の東門まで逃げ続けたマジシャンを
さんざん追い掛け回した挙句に背後から剣を一閃

あわれマジシャンは戦場の露と消えたのでありました
そしてこの勝利をもって歩兵はPvP内においてランク1位となったのであります

中央広場にご機嫌で凱旋してきた歩兵
マジシャンを追いかけていったのを見ていた人から
「マジさんは?」と問われて

などとキャラにあわぬことをほざいておりました

この後、しばらく中央広場でゆったりとした時間を過ごしてから
悠々とPvPを退出したのでありました

 お師さま 今戻りました

 あー 無事かえってきたか つまらん
      それじゃオチがつかんではないか
 ネタのためにあんなところ行かせたんですか
      お師さまひどいよ うあーん


ではまた

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