ラグナ記

戻るTOPへ

41回目「取高調査」

 

前にも同じような話をしたような気もするのですが
騎士たるもの、国王の忠実な僕としてその権威を傘にきて
下々のものを搾取することを怠ってはなりません
というわけで国王の代官として
年貢の量を決める取高調査を行うべく田舎の村へ赴くのであります

 ふーむ、えらく活気の無い村であるな
 へえ、お代官様 今年は近年稀にみる凶作でして
      村の者は食うや食わずという有様なんでごぜえやす
 ほう、凶作か それは気の毒にな
      ではせめて帳簿の上だけでも大豊作ということにしておいてやろう
 お戯れを…… それでは納める年貢の量が増えてしまいますだ
      そのようなことをなされては
      この村の者は皆、飯の食い上げですだぁ
 ふん、そんなことは知らぬよ
      帳簿に凶作と書くも豊作と書くもワシの胸先三寸
      村長よ、ワシの言わんとすることがわからぬか?
 くっ なんという……
 全てはそなたらの心がけ次第じゃ クックック

 こりゃ、娘どもよ お代官様を丁重におもてなしするんじゃ
 ふむ、なかなか可愛らしい娘じゃの
      まずは肩でもたたいてもらおうか
      ダメじゃダメじゃ もっとしっかりたたかぬか
      うーむ、これはワシが直々に
      マッサージのやり方を教えてやらねばならんのぅ
      二人とも 奥に参るがよいぞ クックック
 うぅ…… しくしく

 ちくしょう おねーちゃんたちに酷いことを!
      あんな悪代官なんて僕がやっつけてやる!
      後ろからそーっと、そーっと…… えい!

 あれ?
 小僧よ 貴様のやることなどお見通しだ 馬鹿め!
      お仕置きが必要だな それそれ
 うー いたい、くるしい、あー!

 なんとひどい……
 村長よ 国王の命を帯びた私に拳を振るうとは
      これは立派な謀反ではないか?
 い、いえ 決してそのようなことは
 そうか まあ、ワシも鬼ではない 今回の件は大目にみてやってもよい
      しかし、それには相応の誠意を示してもらわねばなぁ
 誠意とおっしゃいますと?
 村長よ そなたには娘がおったであろう
      なかなかの器量良しと聞いておる
      あれをワシに差し出せば、考えてやらんでもない
 なんと御無体な!
 嫌なら嫌でいいのだぞ
      その場合は村を挙げての謀反とお上に報告するだけだ
      まあ、征伐の軍が来るかもしれんから気をつけてな
 ううう…… どうぞ娘をお連れ下さいまし

 しくしくしく……
 ほれ、何を泣いておる 早ようこっちに来ぬか
 いやでございます
      わたくしはあなたなんかの言いなりにはなりません
      そんなことをするくらいなら、するくらいなら……

 あなたを殺してわたくしも死にます ええい!

 ふん、そんな素人の突きなど当たりはせんよ
      さっきの少年といい、この娘といい
      無駄だということが何故わからんのだ
      無粋なものは捨てて、こっちに参れ

 初めからそうしておけばよいものを クックック
 うぅ お母さん……


 これで年貢の便宜をはかっていただけるんでごぜえますか?
 ふむ、この分では今年は豊作じゃのぅ
 そんな あんまりだ!
 謀反扱いにならんかっただけでも感謝せよ
      来年も来るから、ちゃんと心づもりをしておけよ わっはっは


ではまた

次へ戻るTOPへ

inserted by FC2 system