ラグナ記
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１５８回目「ポリンマークエアライン」
これが飛行船というものか
こんなものがあるとは、共和国の技術力はすごいな
ななななんでででここおんなななもののががとととぶんだだだだっ
どうした、あぷり 随分と震えておるな 恐いのか
しゅしゅしゅらはなななにもももおそそれぇないいいいいぃ
たたただ、こおんなてててつののおかたまあっりが
そおっそらをををとぶぶぶのがががゆゆゆるるせせえええなああぁい！
別にお前に許してもらわんでも飛行船は空を飛んでおる
怖いなら無理して端っこまでこなくてもいいんだぞ
ここおぉっわっくなななあああぅんててあああるううううものおおかぁ！
ヒモなしバンジーは大丈夫だったのに……
まあ、落ちんようにな
もうリヒタルゼン空港か 飛行船というのはとても速い
我が国にもこういうものが一つ欲しいな
あああうううおおおえええ（ガクガク
飛行船から降りたのに、まだまともに歩けんのか
わわわたししははまままっすぐぐだだ
ぽぽぽりりんかかめんんこここそそふふふららふららあすするぅうなあ
こりゃだめだな ちょっと休んでいくか
そそそううだぁっな わわわたしいいわだだいいじじょっぶだだだがが
ぽぽりんかめんがががつつつかれれていいるなららら
いっししししょしょにいいぃややすううんででももいいいいいいいい
だれがポポリン仮面だ
さて、茶でも飲んでゆっくり……？
あぷり、今なにか言ったか？
ななににももいいってててないいい
そうか？ 何か聞こえたような気がしたが……
……くれ……いかせてくれ……
幻聴？ いや、頭に直接呼びかけているのか
なななにいをいっていいるぅ
ぽぽりんかめえんあはつつつかれれているるんんだな
別に何にもつつかれてはおらんが……
こいつ、私に何か伝えたいのか
……私は……人体実験の……犠牲に……
……ふむ、なるほど それはよい話を聞いた
怨霊よ、お前の願いはかなえてやるぞ クックック
ななんでひひととりでののろわれれってるるる？
人助けのネタができた
準備してくるからここで待っておれ
そそそううか ででではつついていかかないい
ついててていかなないののはまってててろといわわれたたからでで
やすすみみいたいいかららででははなああい！
わかったわかった おとなしく待ってろよ
おい、ガルシュタイン
おっと、これはこれはリンゴの…… いや、ポリン仮面さま
呼び名を間違えるな 何のために変装していると思っている
（変装って、頭装備変えただけじゃ……）
何か言いたげだな 私に意見するつもりなら言ってみよ
いや、意見だなんてとんでもございません
フン、貴様はミッドガッツ中央情報局の諜報員なのだ
私の手駒として動いておればそれでよい
ミッドガッツ中央情報局、通称ＣＩＭ
大層な名前をつけたもんですね
某国の有名な諜報機関からとった名前だ
まあ、別にミッドガッツ国家保安委員会でもよかったんだがな
それなら、コウモリ傘でも持ち歩いたほうがよさそうですね
そんなことはいい、訊きたいことがあるのだ
この町に人体実験とかしてそうな場所は無いか？
何故その情報を！？ 先日やっとその存在を突き止めたばかりなのに
私は勘がいいからな それで、それはドコだ
最近この町最大の企業レッケンベル社が
貧民街で高給を謳って人を集めておりますが
どうも、応募した者はほとんど戻ってこないようです
ふむふむ、それで？
そのレッケンベル社の地下に秘密の研究施設があることを掴みました
人が戻ってこない事と重ね合わせると、一つの推測が成り立ちますね
おい怨霊、お前の言う場所はそこか？
……そう……
怨霊？ 誰とお話されておられるのか？
深く気にするな
それで、その研究所に潜入するにはどうすればいい？
貧民街から下水管を通じて侵入するルートを確保しています
そこからなら簡単に侵入できます
そこまでわかっているのなら
何故お前は自分で潜入しないのだ
私は故郷イズルードに妻子を残して単身赴任の身
私がそんな研究施設に行って、人体実験のモルモットにでもされたら
残された家族はどうしたらいいと言うのですか！？
……
怨霊よ、まあ怒るな
……ガルシュタイン、貴様なんで諜報員になった？
そりゃ、給料がいいからに決まってるでしょう
でも妻と子の顔も見たいから本局勤務が希望です
そうか、では当分リヒタルゼンの諜報担当のままにしてやる
単身赴任でせいぜいがんばれ
そんな、御無体なー
……仕返し♪……
フン、音符入りとは陽気な怨霊だな
先ほどからオンリョウとかなんとか
一体何を話されているのですか？
気にするなとさっきも言ったであろう
ともかく、私はこれから潜入調査に向かう
お前は引き続き諜報活動に専念せよ
承知いたしました
そうそう、レッケンベル本社へ行くときは
変装をさらに強化したほうがいいですよ
この完璧な変装が見破られるものか
いやいや、念には念を入れてということですよ
フン、一応聞いておいてやる ではさらばだ
もどったぞ
ポリン仮面、遅かったな
震えは止まったようだな
わたしは元々震えてなどいない ポリン仮面の方が震えていたのだ
フン、つまらん意地を張りおる
まあいい、人助けの下調べは済んだ ついて来い
道行くばあさんが綺麗な服を着ている
リヒタルゼンは大企業の集まった豊かな都市だからな
住民の生活レベルは大陸一高いのではないか？
まあ、肉体労働者層はそうでもないようだが
わたしは知性派なので金持ちになれる
……知性派？
まあ、あぷりコットが知性派かどうかはおいといて
おいとくな
今回の人助けはリヒタルゼン最大の企業
レッケンベル社の地下にある研究所だ
地下研究所？ 人体実験でもやってるのか
そのとおりだ よくわかったな
地下に秘密の研究所となれば、やることは一つ
わたしは知性派だからわかる
知性派にこだわるな まあともかくだ
非道な実験の実態を調査し、被害者を救う それが今回の人助けだ
今回はちゃんと人助けっぽいな
ぽいとは何だ いつもちゃんと人を助けてるだろう
よし、着いたぞ
ここが研究所か 土管しかないな
いや、ここは研究所じゃない
秘密の研究施設だから正面からは入れないので
下水を通って進入するのだ
下水…… 懐かしい響きだ キシャー
おっと、そうだ 忘れるところだった
あぷりよ、これを装備せよ
この眼鏡とヒゲはなんだ
変装だ 見ればわかるだろう
見て変装とわかる変装というのはだめではないのか
何を言う これほど完璧に変装しているのだから大丈夫に決まってる
不審者発見！ 怪しい変装をして、お前たちは何者だ！？
やはり止められた 変装のせいだ
変装も変だが、鳥に乗ってたり、へんなゴム帽子かぶってたり
外部の人間なのはバレバレじゃないか
ほれみろ、変装のせいじゃないだろう
やはりこの変装は完璧だったのだよ
そんなことはどうでもいい
ここの事を知られたからには帰すわけにはいかないぞ
わたしたちをつかまえようというのか
ちぃっ しょうがない 強行突破だ
結局力押し 変装意味ない
変装はやってみることに意義があるんだ
オリンピック？
うむ、オリンピック精神だ すばらしいだろう
うむ、確かにすばらしい精神 納得した
私の研究室で何をやっている！
博士、侵入者です
侵入者だと！？ 警備部は一体何をやっていたんだ
ここの重要性がわかっていないのか！
もうこれ以上抑えられない うわぁ！
よし、全部倒した あとは博士だけだ
貴公がここの研究責任者か
私は貴公の研究内容についてとても興味があってね
どのような研究なのか、是非ご教授いただきたい
研究の内容など言えるわけないだろっ
クックック ここにいるのは貴公一人だ
ご教授頂けないのならどうなるか、わからぬ貴公ではあるまい
くそっ こうなってはアレを出すしかない
俺はまだ負けてない アレの恐ろしさを見せてやる
これは、一次職？
……クローン技術、か？
ご名答 しかし、ただのクローンではない
実験を重ねに重ね、普通の人間をはるかに超える
高い戦闘能力を持たせることに成功したのだ
……
なるほど、これのための人体実験か
木偶どもの命と引き換えに素晴らしい成果が得られたよ
クローン生成プラントがある限り
幾らでも優秀な戦闘員が確保できるのだ
これを軍部に売り込めば大変な金になる キッヒッヒ
あからさまに悪役 こいつを殴るのは人助けになる
うむ、生成プラントとやらも破壊させてもらおう
そんな口を叩けるのも今のうちだけ
クローンどもが貴様等の相手だ
お前等も実験材料にしてやるぞ キッヒッヒ
猪口才なっ
魔法だと？ ぐむぅ なかなかやるな
あぷりコット、ヒールをくれ
ポリン仮面は死んでるのにヒールで回復するのか
私は並みのアンデッドとは違う 故人だからな
そうか、ポリン仮面は故人であってアンデッドではないのだな
くそう、余裕しゃくしゃくなのか
クローンども、何をやっている 早くそいつらを叩きのめせ
フン、クローンとはいえ、一次職にやられる我等ではない
私のクローンが全滅だと？ そんなバカな！
修羅の名は伊達ではない
お前が最後だ 覚悟しろ
ヒィ！ 命ばかりはお助けを!!
そうか、では助けてやる
えっ、いいの？
うむ、私は心やさしいからな 自ら手を下すのは好まん
それはともかく、まずは生体プラントとやらへ連れて行け
……
わかっている お前の仇だ
全て終われば憑りつくなり呪うなり、好きにするがいい
しかし、私の目的のためには、まだこいつが必要だ
お前の願いをかなえてやるのだから、お前も私に協力しろ
……わかった……
なんだこれは 床が血に染まっている
ここが生体プラントだ
私の研究成果のすべてがここにある
そうか、ではここを破壊する
なんだってー 私の研究成果を破壊するなんて！
クックック 今度から破壊されないような研究をするんだな
さあ、あぷりコットよ やってしまえ
阿修羅覇王拳！（どごーん
ああああああーっ！
よし、これでもう人体実験はできない
……♪〜♪……
さて、あとは二度とこのようなことが無いよう
この会社の上層部に人体実験の事を報告すれば終わりだ
そうか、これで悪の実験は止められたのだな
うむ、終わったら飛行船で帰るとしよう
ひ、飛行船？
そう、飛行船 速くて便利だ 使わぬ手はあるまい
い、いや 修羅は足腰を鍛えねばならない
ここから走って帰ることにする
そうか 走って帰るにはいささか遠いと思うが……
まあ、時間がかかるだろうから先に帰路につくといい
わかった ではまた会おう（退場
帰ったか…… さてと、仕上げに向かうとするか
…………………………………………………………………………
クックック 邪魔するぞ
失礼ですが、どちら様でしょうか？
私はポリン仮面 御社の事業内容について尋ねたいことがあるのだ
それでしたら弊社のパンフレットをご覧下さい
パンフレットは１階インフォメーションセンターにございます
いや、パンフレットには載っていなかったので訊きに来たのだ
「戦闘用クローンの生産事業」について教えてもらいたい
弊社はそのような事業を行ってはおりません
くだらない冗談を言いに来られただけなら
直ちにお引き取りください
フン、こいつを見てもまだそんなことが言えるかな？
おい、怨霊！
……歩け……
ああ、足が勝手に！？
あっ、博士！？
さあ博士、証言をしてもらおうか
……喋れ……
わ、わたしはー レッケンベル社の地下研究所でー
人体実験をしてー 戦闘用クローンをつくりましたー
ということなのだがね
博士はそんな研究をしていたのですか！？
こんな事が公になれば我が社は大変なことになってしまう
お金なら１０００万でも２０００万でも払います
何卒、この件は御内密に……
残念ながら、もう公になったも同然なのだよ
なぜならば……
そのリンゴは…… ゲフェンの赤リンゴ！
私をご存知か クックック、光栄だな
私が知っていると言うことは
ルーンミッドガッツ王国が知っているという事だ わかるな？
そんな…… もう我が社はおしまいだわ
いやいや、まだ諦めるには早い
この件は事が重大であるが故に、我が国でも慎重に対応を検討しておる
よって、まだ公にはしておらんのだ
まあ、御社の心がけ次第では
よい結果になることもあるのではないかな？
……どういうことですか？
どうということもない あとは自分たちで考えろ
この博士は我が国で身柄を預かっておく
事件の公表がいつでもできるようにな クックック
………………………………………………………………………
なんだこの通路は？
イズルードの町にこんな通路はなかった
ん？ この通路か これはだな……
新設された空港への通路だよ
空港！？ な、なんでそんなものをつくるのだ
リヒタルゼン市のレッケンベル社が
我が国との友好のために空港建設の全費用を負担して作ったのだ
なかなかいい心がけだな クックック
人体実験はする、空港は作る
極悪企業レッケンベル ゆるせん
いや、空港は別にいいじゃないか 便利だぞ
さて、ジュノーまでひとっ飛び出かけるとするか
飛行船に乗り込むぞ
わ、わたしは走っていくぞ（逃亡
あぷりコットめ 逃げよったか クックック……
ではまた
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