ラグナ記

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183回目「ロミオとジュリエット」



 ロミオ……

 ジュリエット、好きだよ

 私もロミオの事、好きです(ぽっ
      でも、私たちは決して結ばれぬ仲
      あぁロミオ、あなたはどうしてロミオなの
 僕の伯父上が身分の違いに厳しいせいで
      君には辛い思いをさせてしまって、本当にすまない
      いっそ、こんな身分など捨ててしまえば……
 いけません、貴方はルーンミッドガッツに必要な人です
      それなら私が身を退けば……
 そんな、僕には君が必要なんだ!

 ロミオ……

 ジュリエット……

 ロミオよ、そこで何をしている!

 あわわ、隠れなきゃ

 はっ、伯父上
      その、街を眺めて気分転換などをしておりました
 また、あの平民の娘と逢っていたのではなかろうな!

 いえ、そのようなことは……

 平民の血など汚らわしい
      そろそろ会議の時間だ 遅れるなよ(退場
 わかりました………またね、ジュリエット

 ロミオ……ぐすん

 なんだか複雑そうなカップルがいるッス
       それに、さっきの偉そうな人は噂の貴族…
      これはスキャンダルの予感!?

……………………………………………………………………


 それでねー 教会の長老のせいで
       甥っ子と商人娘の恋は前途多難ッスよー
 まぁ、大変ね

 それからリンリンの集めた情報によると、
       長老にはお金絡みで黒い噂があるッス
 なになに? 教えてよリンちゃん

 どうやら長老は大臣達にお金を渡して
       今の地位を手に入れたらしいッス
 あの長老ならやりそうよねー
       でも噂だけで証拠はないんでしょう
 そう、なかなか尻尾を掴ませないッス
       でもリンリンの情報網によれば、
       大聖堂の大司教と国王の側近が怪しいのは間違いないッス
 リンちゃんってほんと、噂話が好きよねー

 噂はリンリンの趣味で生き甲斐ッス

 また面白い話を聞かせてね

 まかせるッス

 ・・・

……………………………………………………………………

 ラララン、今〜日も街のう〜わさを集〜める〜ッス♪

 そこのキミ、ちょっと話があるんだが

 おじさん、リンリンに何の用事ッス?

 おじさん…… 私は最近結婚したばかりで
       まだお兄さんな年齢だぞ
 んー この年齢の男は繊細で扱いにくいッス

 とにかくおじさんはダメだ 呼ぶなら名前にしたまえ
       私はガルシュタイン、政府の者だ
 お役人ってことは・・・貴重な情報源!
       リンリンも王宮の噂を聞きたいから、教えて欲しいッス!
 それはキミのこれからの態度次第だ
       ここ数日、生活を監視させてもらったが
       キミの行動は公安上非常にマズい事になっている
 え、リンリンなにかしたッスかねぇ?
       っていうか、覗きはダメ!痴漢痴漢!
 ちょっと待て、静かにしないか
       あくまで行動監視だ、勘違いするな
       いいかね、キミには国家機密漏洩罪の嫌疑がかけられているのだよ
 リンリンが犯罪者…?Σ(゚Д゚;)

 というわけで、キミを逮捕しなければならない

 そんな、リンリンは何も悪いことしてないッス〜(ノД`)・゚・。

 まぁ待ちなさい
       取引に応じるならば、考えなくもない どうするかね?
 うわーん 権力をかさにきた役人に慰み者にされちゃうッス〜

 コ、コラ 人聞きの悪いことを言うんじゃない!
       妻に聞かれたらえらいことになるじゃないか
       あくまでも司法取引というやつだ
 話を聞くッス

 うむ、私は教会長老の不正資金について内偵を進めているのだが
       そのルートが掴めないのが現状だ
       しかしキミは我々も知り得ない情報までも収集している
       その能力を提供してもらいたい
 情報? あー街の噂話のことッスか
       おしゃべりしてると自然に集まってくるッス
 街の噂から正確な情報を抽出している
       やはりキミは、優れた情報収集能力があるようだな
 噂を教えて欲しいなら、そう言えばいいのに〜
       いくらでも教えてあげるッスよ
 だが、勝手に情報を漏らされては困る
       そこで、キミには今日付けでミッドガッツ中央情報局に入局してもらう
       キミに選択権は無い 以後、国家のために尽力するように
       コードネームはそうだな……ティンカーベルにしよう よろしくな
 よく分からないうちに就職してしまったッス
       ルーンミッドガッツは恐いところ

……………………………………………………………………

 失礼する

 おや、久しぶりだね ギルドに何か用かい?

 今日は調査依頼を持ってきた
       非公式のモノだが受けてもらえるか
 まずは内容を聞こう

 ……内密に頼みたい

 馬鹿にするんじゃないよ
       ギルドは信用第一だ 秘密を漏らすような事はない
 すまん、失言だった…
       依頼は聖堂教会長老の不正な資金流用に関するものだ
       調査により彼が黒なのはほぼ間違いないが、証拠が掴めないでいる
       そこで、長老に揺さぶりをかけたいのだ
 公安部ってのは面倒な仕事をやってんのね
       それってヘタすると反逆罪でしょ
 外から叩かねば出ないホコリも有ると言うことだ

 要するに、長老を動揺させて行動を見るってわけか

 方法はギルドに一任 報酬は先払いでどうだ

 ・・・だそうですよ どうしますか?

 !?

 お役人の依頼ってのは気に入らないが、いいだろう
       その依頼「ソグラド砂漠の紅い疾風」が承った
 諜報員の私が全く気配を感じなかっただと…
       彼女が噂に高い義賊、紅い疾風か
 早い話が、吐かせりゃいいんだろ
       王宮侵入か 腕がなるぜ
 くれぐれも、お手柔らかに…

……………………………………………………………………

 さっそく首都まで来てみたけど、昔も人が多いのね
      この時代で頼れそうな知り合いといえば、リンゴの騎士様だけど
       なんて説明すればいいのかしら
 ロミオ…しくしく(どしん

 わわっ

 あっ、ごめんなさい
       わたし前を見ていませんでした
 あら、あなたどこかで会わなかった?

 えぇと、初対面だと思いますけど…

 あ、そうか 写真だ

 やっぱりジュリエットさんだ
       間違いないわ この時代は未来と繋がってる
       ん・・・この写真、ロミオさんが消えかかってる!?
 あの、どうかしましたか?

 いやその…
       (なんで写真が消えるの?)
       そ、そういえば、どうして泣いているの?
       良かったら話を聞くわよ
 ありがとう親切なお方
       わたしはジュリエットといいます
       実はかくかくしかじか 恋人のロミオと別れようと思って
 えーっ どうして別れようだなんて
       (あんなに仲が良かったのに…)
 わたしたち、身分が違うんです
       ロミオは将来有望な官僚補佐の貴族さま
       わたしなんて、ただの貧しい商人の娘なんです
       だからロミオの事は諦めようと思います
 身分の違いか・・・
       (でも、将来結婚してたわよね
       まさか、未来が変わるとこの写真も変わっちゃうの!?)
       ダメよ、諦めちゃダメ!
 えっ

 好きなら身分の差なんて関係ないの
       あなたロミオが好きなんでしょ
       自分の気持ちに嘘をついちゃいけないわ
 は、はい…
       でもロミオの伯父様が厳しくて、
       交際を認めてくれないんです
 むむむ… あたしが文句言ってやる!
       その伯父はどこにいるの
 ロミオの伯父様は教会の長老で、
       普段は王宮にいると思います
       平民の私たちじゃ、会うことは難しいです
 う……偉い人は苦手だけど、
       ジュリエットさんのために頑張るわ
       身分なんて……身分の差なんて関係ないんだから!
       待ってて きっとなんとかするから
 ありがとう 親切な人


ではまた

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