ラグナ記

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184回目「国王暗殺未遂事件」

 

 …ですから、この古代ミッドガルド文明の研究は
      来たる聖戦に備えて必要不可欠なものなのです!
      ゲフェン塔の研究部の予算を承認して頂きたく、お願い申し上げます
 なるほど。失われた古代魔法の調査によって、
      かつて起こった大戦争の実体が掴めるかもしれませんね
      では、予算案については前向きに検討する事で…
 ならん! 古代魔法は禁忌である!
      聖堂教会としては、認めるわけにはいかん
 馬鹿な!? 千年前に起きた王国崩壊の謎を解明すべきです
      太古には現在より高度な魔法が使われていた可能性も…!
 伯父上、マリア教授の研究は重要だと思われます

 ロミオ財務補佐官、ここでは長老と呼びたまえ
      ワシがNOと言ったらNOなのだ
 その……失礼しました

 教会は聖戦対策を怠っているのではありませんか

 ふん、聖堂教会は常に教義の布教を行う僧侶の拡充と、
      戦闘に特化したクルセイダーの増員を行っておる
      神の加護を受けた聖騎士がいれば、大勝利が約束されるだろう
      (妙な研究に回す金など出すものかっ)
      先月も特に優れた者を任命したばかりだ。入るがよい
 失礼いたします
      聖堂騎士を拝命したケイナ=バレンタインと申します
 随分お若いのね、長老殿の趣味でお選びになったのかしら?

 無礼には剣を持ってお応えするが…?(ガチャ

 挑発に乗るなバレンタイン 平時の抜刀は許可されておらぬ

 ハッ

 (この剣気、デキるわね…)

 どうかね。少しばかり気性は荒いが、剣技は超一流
      並の男では敵わぬ使い手よ
      あと、若いってのが良いぞ、うむ フヒヒ
 あの、伯父上?

 あー、げふんげふん つまり!
      今はクルセイダー部隊編成にこそ予算が必要であるのだ
      財務補佐官、騎士団の経費をこちらに回すよう手配しておきたまえ
 えっ? それでは騎士部門の訓練費用が赤字になりますが

 ろくな成果も上がらない騎士団など早く解散させるべきだ
      国王にもご相談しておこう
      そういう理由だから、古代魔法の研究費は承認できん
      帰りたまえ マリア教授
 そうさせていただきますわ

 (こんな事でいいのだろうか…)

……………………………………………………………………

 ・・・というわけ!
      まったく、頭が固い連中ばかりですわ
 まあ、愚痴る気持ちはわかるが
      聖堂の長老相手ではどうにもならんだろう
 何を弱気な事を言ってますの
      連中ってば騎士団を解散させるつもりですわよ
      それもこれも、あなた達の働きが振るわないからでしょう
 騎士団員が怠け者なのは認めるが、
      私は炭坑の
暴動鎮圧やら、異端討伐に忙しい身だ
      まぁ出世したら、予算の事は根回ししておこう
 珍しいマジックアイテムが見つかりましたら
      それも研究部門に回していただけるかしら?
 そういうものは騎士団にまわさず直接持ってくる
      好きに使うといい
 ありがたいですわ
      ああ…どこかに面白い研究素材は落ちていないかしらね
 ・・・

 あら、どうしたのですか

 いやあの、私は久々の出番なのにもう終わりなのかな〜と

 ?

 いや、こっちの話だ

……………………………………………………………………

 忍び込むなら、人が少ない夜よね
      長老の部屋はどこなのかしら
      とりあえず 塀を乗り越えてっと

……………………………………………………………………

 今夜も夜勤か 団員の士気向上のためとはいえ、
      なぜ団長自ら夜勤などと・・・ふあぁ
      給料上がらんかなぁ
 ・・・王宮の警備も大したことはない
      王国騎士団は腑抜けばかりだな
      さっさと長老を締め上げるとするか

……………………………………………………………………

 夜は警備兵も寝ちゃうのかしら
      それにしても広いお城よね なんだか緊張しちゃう
      ここは広間みたいだけど…
 ん? こんな夜更けに誰かな

 も、も、もしかして王様ですか

 いかにも。朕がルーンミッドガッツの王トリスタンIII世であるぞい

 あわわわ、身分が、身分が〜

 そちは平民の娘かのぅ

 ご、御無礼をお許し下さい!
      あたしは青梅、旅人です
      王様に謁見する身分の者ではないのに、道に迷って…
 うむ、そう緊張するでない
      話があるのじゃろ 聞いてやるぞい
 王様とお話だなんて、良いのかな?
      えーと、実は商人の女の子が・・・

……………………………………………………………………

 ちょいと邪魔するよ

 な、何者だ貴様!
      王宮は厳重に警備されているはず
      どこから侵入した!?
 厳重だって? 笑わせるね
      警備が穴だらけなんだよ
 くっ、誰か…

 おっと大きな声を出すんじゃない
      助けが来る1分の間に、お前の喉笛を何回切り刻めると思う?
 ぬぅ… いったい誰の差し金だ
      そうかゲフェン塔だな 予算を蹴ったのを恨みに思って…
      いや、教会反主流派の連中なのか?
      待てよ、こないだ辞職に追い込んだ大臣か?
 随分心当たりがあるようだな
      だが答える必要はない 勝手に想像してろ
 目的は何だ

 お前が汚れた金をばらまいているのは判っている
      裏帳簿を出してもらおうか
 な、何のことかさっぱりだな

 とぼけても無駄だ
      吐かせる方法はいくらでもあるんだぜ(ギラリ
 ぐぬぅ

……………………………………………………………………

 なるほど、身分違いの恋仲のぅ

 でもその人が大好きなんです!
      でないとアタシ、どうしたらいいのか…
 んー? それは商人娘の話ではなかったかね
      どうも先程から、そなた自身の問題のように聞こえるのじゃが
 そ、それは!? ・・・そう、かも、しれません

 良いよい、身分など気にせず逢瀬しなさい
      朕も王子だった頃は、街娘とやんちゃしたものじゃよ
      若い頃はモテモテでのぅ
 ほへいの周りにも女の子が多かったわね
      王様の血筋ってモテ男子なんだ
      そういえば、目元があの子に似ているような・・
 朕が似ているじゃと?
      そなた、一体誰のことを言っておるのじゃ
      まさかトキンを知っておるのか!
 は、はい 安心してください
      トキン王子は安全に暮らしています
 探しておるのじゃ トキンはどこに居るのか

 そうか、村が閉ざされていたから会えなかったんだ
      あの子は…
 そこに居るのは誰だ!

 王の間に賊の侵入を許すとは、
      このケイナ=バレンタイン不覚をとった
      そこに直れ 斬り捨ててやる!
 あわわわ、恐い人に見つかっちゃった
      王様ごめんなさいっ あたし逃げます(逃走
 待っておくれ 王子は、王子は今どこに

 お怪我はありませんか王様
      暗くて賊の顔がよく見えませんでしたが、何者でしょう
 うむ、大丈夫じゃ
      急いで先程の者を追ってくれ 聞きたいことがあるのじゃ
 ハハッ

……………………………………………………………………

 わ、わかった 帳簿を渡すから命だけは助けてくれ

 そうそう、素直が一番だぜ
      ・・・なんだ、外が騒がしいな?

 どこかに隠れなきゃ!
      よし、こっちの部屋を通って逃げるわよ
 何なんだ?

 待て、侵入者め!

 ケ、ケイナこっちだ! 侵入者はここだ!

 ちっ 邪魔が入ったか

 クックック 形勢逆転だな

 貴様が賊か 王の御命を狙うとは断じて許せん
      この剣のサビにしてくれる
 はぁ? 王様なんて知らねーよ

 ふざけた奴だ! はあぁっ!(シュッ

 うおっ(ガキン

 悔い改めよ!(シュババババ

 くっ そっ このっ(キン キン キン
      王国騎士にも、ちっとはまともな使い手がいやがるんだな
      上等だぜ!!
 なにを手こずっているケイナ=バレンタインよ
      早くその侵入者を始末するのだ
 やあーーーッ!(ガキン

 くらえ、ソニックブロォォオ!(ドガガガガガ

 オートガード!(ガン ガガガガン
      はぁ… はぁ… ただの賊ではないな貴様
      この技のキレ、桃色の髪、悪魔帽子……紅い疾風とは貴様のことか
 はぁ… はぁ… だったらどうした

 紅い疾風は義賊だと聞いている
      それが何故、王の御命を奪おうとする
 知るかよ!(ガシュッ
      しつこい剣だが、次で決めてやるぜ
 行くぞ!

 (長引いて、他の者が来てはまずいな)
      ケイナよ加勢するぞ、速度減少!!
 ぐっ、急に身体が重く…

 えぇいっ!!(ザシュ

 ぐあぁっ(ぶしゅう

 なっ…

 ここらが潮時か、あばよ!

 仕留め損ねるとは、らしくないな

 いいえ…(一瞬遅ければ、こちらが殺られていた…)

 

 道に迷っちゃったわ 出口はどこなの〜

 ぜぇぜぇ…

 声? それに、血の臭い…!!?

 誰だ、近づけば…殺すぞ

 デビ姉! どうしてこんなところに
      怪我してるじゃないの
 アタシの事をしってるって事は、あんた同業者だな?

 いや、そういうわけじゃないんだけど……

 追っ手が来てる あんたは早く逃げな

 放っておけるわけないじゃない!
      肩を貸すわ 一緒に行きましょう
 どこの誰だかしらないが、すまねぇ…

 探すんだ

 この辺に逃げたらしいぞ

 ・・・

 ・・・ダメだ、もう逃げられん
      あんた一人なら、助かるだろう 行ってくれ
 簡単に諦めないで!
      あなたは生きなきゃいけないのよ
 あんた、見ず知らずの私のためにどうしてここまで・・・?

 そんなこと気にしなくていいわ
      きっとそのうち判るはずよ

 おい、冗談だろ この身体じゃもたねぇ

 大丈夫 アタシがフォローする
      こんなのバンジージャンプと一緒よ さぁ飛び込むわよ!(どぼん
 ここでビビっちゃ紅い疾風の名がすたる
      えぇい、どうとでもなれ!(どぼん
 川に飛び込んだぞー!

 取り逃がしたか くそう!

 しかし、泳ぐには流れが速すぎる
      手負いで飛び込んでは助かるはずもない
 よし、引き上げだー

 
ではまた

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