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著:ショウさん(@愚者の書庫)  絵:えもん氏

真闘姫 〜THE GIRL'S STRUGGLE FOR EXISTENCE〜 

 

第一話

闇姫様のあとについて私と雪姫は長い階段を上っていった。
階段の突き当たりにある扉を開けるとそこは見渡すかぎり本が並んでいて
図書館や書庫のような、あの独特のにおいがした。
私と雪姫は周りを見渡した。
さほど広くはない部屋に本がぎっしりで地震でも起きたらえらことになりそうだ。

「ここが今のわたくしたちの拠点。『愚者の書庫』です。
 いちおう古書店ということになっているわ。」

私と雪姫はそれぞれあたりの本を手に取ったりしながら店内をざっと見て回った。

「へぇ・・・すごい量ですね。慧ネェの部屋みたい。」

「・・・・・・慧姫姉さんの部屋はもっとすごいよ。」

本棚を順番に見て回っているうちに、ふと変なモノに気が付いた。
本の入っていない棚があり、そこに小さな布団がしいてある。
小さいなんてもんじゃなくて片手に乗ってしまうようなサイズだ。
しかも、その中で何かがイビキをかいている。
私は「それ」をひょいとつまみあげてみた。

「闇姫さまぁ。なんですか、コレ?」

「あぁ、それはシマリスのショウ。いちおうこの書庫の管理者(?)をまかせています。」

「か、かんりしゃ?・・・コレがですか?」

「そうです。いちおう人語を解しますよ、彼は。」

「え?!喋るんですか、これ?」

雪姫もこちらへやってきて管理者らしき「それ」を見にきた。

「管理者ねぇ・・・・・・どう思う?」

雪姫に尋ねたけれど、特に反応はなかった(そうだろうとわかって聞いたんだけどね。)
ただ無言で、物珍しげにショウなるリスを観察していた。
このリス、あきれたことに宙づり状態でまだ眠ているのだ。
私はリスを突っついてみた。

「おい?こら?起きろ〜(つんつん)」

どうやら目を覚ましたようだ。

「んん?・・・うぅん・・・・へ?うわぁぁっ!!」

ようやく現状を把握したリスは
自分が(コイツにしてみれば)高いところに
ぶら下がっていることに気が付いて慌てている。

「おろせ、おろせ〜〜〜〜!!」

なんだか暴れているので、私は空いているもう片方の手のひらにのせてやった。

「はあはあはあ・・・び、びっくりした・・・。なにするんだよ!驚くじゃないか!!」

手のひらの上でリスが悪態を付いている。

「おぉっ。ホントにしゃべった。」

わかってはいたけれどやっぱり変だ。雪姫もそう思ったらしい。

「・・・・・・変なリス。」

「失礼だな、だいたいなんなんだキミたちは。人が気持ちよく眠っていたのに。」

どうも気分を害しているらしい。あたりまえだけど。

「ふふっ、うるさい。オマエは人じゃないだろ。生意気なリスめ〜。このっ、このっ。」

私は「でこピン」の要領でリスをこづいてやった。
いつの間にか雪姫も加わって、二人でしばしの間リスをいびる。

「あぁっ!?こらっ、よせっ!うわぁっ!やめてやめて」

ちょっとかわいそうになってきたのでこの辺で勘弁してやることにする。

「あははっ。ごめんごめん。私は将姫。
 で、そっちの不愛想なのが雪姫だよ。よろしくね。」

「ふぅ、まったく!・・・・知ってるさ。八姫衆のうちの二人だね。よろしく、ふんっ。」

というとリスはぷいっとそっぽを向いてしまった。

「ごめんごめん、悪かったってば。
 ほら、機嫌なおしてよ、ね?ふとんに戻してあげるからさ。」

「ふん、わかったよ。おやすみっ!」

布団のある棚に戻してやったら、リスは早々と布団に潜って眠ってしまった。
リスのクセに布団で寝てる時点でどうかと思うけれどね。
それから私たちは闇姫様の方に振り返って尋ねた。

「ところで闇姫様。そろそろ私たちを召喚なさった理由をお聞かせ下さい。」

私たちがリスをからかっている間に本を読んでいたらしい闇姫様は顔を上げて答えた。

「そうね。久しぶりにあなた達に地上に来てもらったのは他でもありません・・・」

 

To be continued...

 

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