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著:ショウさん(@愚者の書庫)  絵:えもん氏

真闘姫 〜THE GIRL'S STRUGGLE FOR EXISTENCE〜 

 

第二話

「わたくしや八姫衆が所有している物も含めて、
 我々のアイテムが三十六個あるのは二人とも知っていますね。」

「えぇ、もちろん。」「・・・はい。」

闇姫様は私たちの答えを聞いてうなずき、続けた。

「そのうち、未だ所有者が決まっていない二十五のアイテムは
 あちらに保管されていたのですが・・・。
 そのうちのいくつかが何者かによって盗み出されたのです。」

「!?・・・・・・。」

私は驚きを隠しきれなかった。鉄面皮の雪姫でさえあきらかに驚いているのがわかる。
あたりまえだ。そんな真似のできる奴がいるなんて。

「盗み出されたアイテムは
 「黒の聖書」「陶酔のコロン」「嵐の魔剣」「霊縛輪」「情動のハープ」の五つです。
 そして、さらにやっかいなことに、これらは地上に持ち出されたのです。」

「・・・つまり、私たちにそれを奪回せよ、ということですか?」

「察しが良いわね、その通りです。あなたたちにお願いしたいのは、アイテムを奪回すること、
 そして犯人を明らかにし・・・抹殺することです。」

やれやれ、少し面倒なことになりそうだ。

「それで、アイテムの手がかりはあるのでしょうか・・・?」

「ええ。探索の術法を使ってみたのだけど、隣町の高等学校にアイテムの反応がありました。
それも、かなり強い反応です、複数のアイテムがそこにあるかもしれません。」

「アイテムは一つ使いこなすのでもかなり大変なはず。
 そこで何人かの人間にばらまいたのかもしれませんね。
 それにしても学校って・・・いったい犯人は何を考えているんですかね。」

闇姫様は肩をすくめて答える。

「そればっかりは本人に聞いてみないとね。まるで見つけてくれって言ってるみたい。」

「つまり、ワザとそうしている可能性が高い、ってことですね。ちぇっ、挑発してやがんのか。」

「おそらくそうでしょう。相手はかなりの自信家ね。そして、たしかに相応の実力もあるみたい。
 ですから、くれぐれも油断はしないように。」

「わかりました。それで、具体的にどうすれば?
 まさか正面から乗り込んでしらみ潰しってわけにもいきませんよねぇ?」

闇姫様はくすっと笑ってこっちを見ている。

「ま、まさか・・・。ホントに?」

おいおい、冗談でしょ?そんなことやったらエライことだよ。
私としてはそういう仕事の方が好きだけど。

「ふふふっ、いくらあなた達二人が強襲部隊だからって、そんな無茶はさせないわ。
 でも、乗り込むっていうのは当たっているかもね。」

「はあ・・・よかった。じゃあ・・・潜入ですか?」

ホッとする私。

「ご名答、もう手続きはできています。
 あなた達は隣町の私立高校"麗峰学園(れいほうがくえん)"の生徒になってもらいます。」

「うっひゃ〜。私たち女子高生するんですか。
 でも、高等学校って、試験が必要だったんじゃ・・・?」

「その辺はなんとでもなります。」

「はぁ・・・なるんですか。」

・・・マジかよ。

「とりあえず、二人とも二年生に編入ということになっています。
 そうそう、ちゃんとこちらでの名前も用意しました。
 将姫、あなたは「御劔翔子(みつるぎしょうこ)」、
 雪姫は「矢部雪乃(やべゆきの)」です。良い名前でしょう?」

・・・なんていうか。

「あははははは・・・。良い名前ですね(ストレート過ぎる気もするけど。) よかったね、「ゆきの」?」

「・・・・・・そうね、「しょうこ」姉さん。」

うぅん、いつものことだけど、この子はどういうふうに感じているのかさっぱりわからん。
それでも、闇姫様は満足そうに微笑んでいる。

「そうそう、その調子よ。それじゃ、明後日が始業式だからがんばってね。
 制服もちゃんと用意してあるから。」

「あの、つかぬことをお尋ねしますが・・・制服ってセーラーですか?」

「?・・・いいえ、ブレザーよ?それがなにか?」

闇姫様は怪訝な顔をしている。

「あははは、いえ。なんでもないです。」

「?・・・。」

よかった。慧ネェのアイデンティティの危機は去った・・・。

 

そして、始業式の当日。私たちは麗峰学園の前に立っていた。

 

To be continued...

 

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